今、人気急上昇中の苔。その栽培について丁寧に教えてくれる本、「部屋で楽しむ小さな苔の森」が出版されました。出版を記念したパーティーが行われましたが、並んだ料理はいずれも苔をテーマにしたもの。中には苔そのものを食べる料理も。その内容とは?

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苔テラリウムって、知ってる?

最近人気の苔。一口に苔といっても、日本だけでも約1,700種類の苔が自生しており、姿形はもちろん、日陰や日向、石の上や木の幹など、生えている場所もさまざまで、実に個性豊か。この苔を「テラリウム」という方法で育てるのが密かなブームって知っていましたか?

「テラリウム」とは、ガラス容器のなかで植物を栽培する園芸スタイルの一つで、生きた植物をインテリア的に身近に置いて楽しむことができるのが魅力です。ガラス容器の中は湿度が保たれ、苔にとっては快適な環境。さらに、苔にはもともと薄暗い森などに生えている種類も多く、強い光がなくても育てられるため、室内の机の上などでテラリウムで飾りながら育てるのにピッタリなのです。フタのついた容器に入れて育てれば、1〜2週間に1回ほど霧吹きで水を与えるだけでも大丈夫。コンパクトに楽しむことができ、ちょっとした空きスペースなど生活のさまざまな場所で育てられ、手入れも簡単とくれば、人気が出るのももっともといえそうです。

苔テラリウムのイロハを教えてくれる手引き書登場!

小さな苔の森

さて、そんな人気の苔の育て方を教えてくれる「部屋で楽しむ小さな苔の森」(家の光出版刊)が出版されました。著者は、センスがよく、栽培状態もよい苔テラリウムが人気の植物ブランド「道草」を主宰する石河英作さん。

本の中では育て方や、種類ごとの好む明るさ・水加減の違いなどの基本的な事柄から、石への着生のさせ方など中級以上向けの情報までが紹介されており、内容の濃い本になっています。

この本の出版に伴って開かれた出版記念パーティーでは数々の料理が振る舞われましたが、そのメニューのテーマはなんと「苔」。

「苔の中には針葉樹を思わせる香りをもつジャゴケや、マツタケと同じ香り成分をもつマツタケジャゴケなどがあります。苔というと森の中で観察したり、育てて観賞したりということに目が集まることが多いですが、食べたり香りを楽しんだりすることもできる植物なんですよ」(石河さん)

会場では苔を素材に使ったものだけではなく、苔をイメージさせるメニューもあり、どれも苔にちなんだものばかり。一番食べやすいのは、油で上げてあるもの。ぱりっとした食感で、つけ合わせにもぴったりです。しかし、高温で調理され、油に包まれているため、それほど苔の風味は感じられません。

もっとも苔の風味を感じられるのは、リキュールでしょう。口に含むと、抽出された苔の風味がアルコールとともに鼻へ抜けるときに、香りをしっかり感じることができます。

コケリキュール

会場にはジャゴケとマツタケジャゴケのリキュールが用意されていました。ジャゴケは湿った森を感じさせるような香りで、マツタケジャゴケはそこに針葉樹の香りをプラスしたような香り。ジャゴケは好みが分かれそうな香りでしたが、後味がすっきりしたマツタケジャゴケは香りのやさしいジンのような楽しみ方ができそう。

そのほかの、パーティに出された苔メニューがこちらです。

コケメニュー
当日のメニュー表

2色のジャゴフランス、苔の香りとともに&フレッシュサラダ、コケ玉マッシュを添えて

コケメニュー

生地にジャゴケを練り込んだフランスパン。噛むほどに、森の香りがほのかに漂う、彩りも楽しいパンです(写真手前)。

ジャゴケの香りを抽出したオイル、刻んだジャゴケを練り込んだジャゴバターなどをつけていただきます。

写真奥は、リーフ主体のフレッシュサラダに、ブロッコリーパウダーなどで緑色に着色したボール状のマッシュポテトを添えたもの。マッシュポテトの中にはベーコンが入っています。

会場では、パウダーと未着色のマッシュポテトを使って来場者がコケ玉マッシュをつくる、ぷちワークショップも開催されました。

カジキのグリル、苔庭風

コケ料理

グリルしたカジキにハーブを混ぜ込んだパン粉をかけたもの。

苔自体は使わず、苔むした庭に仕立ててあります。

MOSSバーガー、ジャゴポテトセット

ジャゴケをふんだんに使った、文字通りのMOSS(苔)バーガー。バンズにはジャゴケが練り込んであり、間にはパテとともにジャゴケが挟み込んであります。添えられたポテトにも、サクサクに揚げられたジャゴケがまぶしてあります。

森のペペロンチーノ、苔とキノコのマリアージュ

コケ料理

揚げたジャゴケとキノコを使った、森の素材づくしのペペロンチーノ。シンプルにジャゴケの風味を楽しめるメニューです。

白玉あんみつ、寒天培地風&苔玉シフォンケーキ

コケ料理

写真手前はパウダーにしたジャゴケを練り込んだ白玉と、刻んだジャゴケを入れた寒天を使ったあんみつ。シャーレに入れて、微生物の培養に使われる「寒天培地」のように仕立てた理系メニュー(?)。

写真奥は、抹茶パウダーで苔の色を表現したシフォンケーキ。この日の料理を担当した「菓子工房ichie」で一番人気のケーキとか。

書籍の中でも苔を育てる方法だけでなく、苔を味わう、嗅ぐ、聞く(⁈)など、五感で感じる苔の楽しみ方が紹介されています。魅惑の苔の世界に、どっぷりハマってみませんか?

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Credit

写真&文/土屋 悟(つちや さとる)
園芸雑誌の編集に携わりながらフリーランスのライターとしても活動。都内在住のベランダー。鉢の置き場所がなくなったため、最近はランを中心とする着生植物にシフト中。その延長で、コンパクトで清潔に植物を楽しめる、水槽、透明ケースなどを使いながら試行錯誤している。ときおり実家の庭の手入れも行い、家の中、外での園芸ノウハウを蓄積。

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