毎年5月にイギリス、ロンドンで開催される「チェルシーフラワーショー」は、エリザベス女王が総裁を務める英国王立園芸協会(Royal Horticultural Society、以下RHS)主催の歴史と権威のある国際ガーデンショーです。
庭の植栽・施工やフラワーギフトの制作販売などを行う「クレマコーポレーション」の渡邉友紀さんが、ショーの作り手側の視点からマーキー(テント内の展示)を中心に現地の様子をご紹介します。

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フラワーショーはロンドンの社交イベント

前回の「ロンドンのチェルシーフラワーショー ~その1」では、賞を受賞した名ガーデンをご紹介しました。今回は、テント内の展示やドレスコードについてご紹介したいと思います。

チェルシーフラワーショーでは、訪れる日程、時間帯、来場の目的に合わせて、来場者のドレスコード(服装規定)も変わります。

関係者が多数集まる初日の内覧日は、最もフォーマル度が高く、夜が深まるにつれて、おしゃれなファッションに身を包んだカップルたちが続々と会場に集まります。開催3日目以降は、徐々にカジュアルに。ただし、華やかさはショーの期間中を通して変わりません。

それではさっそく、テント内に展示されていたクレマチスを中心とする花とともに、来場者のファッションについてもご紹介していきましょう。

Thorncroft Clematis (ソーンクロフト・クレマチス)

品種名:Maria Sklodowska Curie

こちらは‘ソーンクロフト・クレマチス’。たくさん展示されているクレマチスの中でも、爽やかで上品な白×グリーンに惹かれました。花びら(正式には萼)の外側にグリーンの斑が入る白の八重咲き。大輪のダリア咲きはガーデンフラワーとしても、また、カットフラワーにしてブライダルブーケをつくっても、きっと素敵でしょう。

内覧日のドレスコードはフォーマル

イギリスでは、5月から7月の間にRHSの主催する人気のフラワーショーが立て続けに開催されます。その中でもエリザベス女王、キャサリン妃をはじめ、ロイヤルファミリーもご覧になるチェルシーフラワーショーは、ロンドンの社交の場の一つとして知られています。初日の内覧日は、私も日本のフォーマルファッションである着物で参加しました。

Raymond Evison Clematis(レイモンド・エビソン・クレマチス)

品種名:Charmain (シャルメイン)

こちらは、‘レイモンド・エビソン・クレマチス’。ベルベットのような質感で、株が大きくなり充実すると、はじめの花は八重咲き、二番花以降はセミダブル咲きや一重咲きに変化する変わり咲き品種です。一株で3通りの花を楽しむことができます。

開催日3日目からはスマート・カジュアル

開催日3日目になると、華やかな花柄のワンピースを身にまとった淑女、花柄のシャツを粋に着こなす紳士をたくさんお見かけしました。年齢や性別に関係なく、お花とリンクさせたファッションを取り入れ、来場者もフラワーショーを盛り上げているようでした。

なお、最終日には、フラワーショーに植えられている植物をお手頃価格で販売する時間があります。販売時間になると、会場は一気にヒートアップ。

午前中にお目当ての種類を見て回り、時にはガーデナーと事前に交渉する方も!

この日は来場者も、動きやすいシャツにハンターのガーデンブーツをはき、タイヤ付きのガーデンキャリーを持って歩く来場者も大勢目にしました。

魅力的な演出のティールームやレストランも必見

フラワーショーには、展示のほかに、人気ブランドのティールームやカフェ、レストランなども出展しています。特に目立っていたスポットをご紹介しましょう。

FORTNUM & MASON (フォートナム&メイソン)

英国王室御用達の老舗百貨店フォートナム&メイソンのブース。

この日は気温がなんと30℃! よく冷えたシャンパーニュ、ワイン、ピムズ(英国の夏の定番カクテル)がとても人気でした。

フォートナム&メイソンブルーの色味が素敵なプランターカバーは、Square Root Plantersによる展示。二重構造になっていて、一鉢ずつ組み合わせが可能なデザインです。これなら季節のお花に植え替えるときも簡単にできますね。

こちらのメーカーは、前述のレイモンド・エビソン・ガーデンのポットデザインもしています。

WEDGWOOD 2018 Tea room &THE WEDGWOOD GARDEN(ウェッジウッド)

ウェッジウッドのティールームは、2017年はパビリオンの中にありましたが、2018年は屋外に移り、ウェッジウッドデザインのお庭を眺めながら紅茶をいただくことができました。2018年はピオニー(シャクヤク)がメインに飾られています。

紅茶とイングリッシュガーデンの組み合わせ。まさにイギリス人にとって親しみ深いモノが集められた空間になっていました。

ウェッジウッドは1759年、創業者ジョサイアにより設立された老舗陶磁器メーカー。RHSとの関わりは深く、創業者の長男のジョン・ウェッジウッドは、RHS設立時の1804年から、メンバーの一人として携わっていました。ジョンの影響もあって、ウェッジウッドの陶器には今でもボタニカル柄が数多く取り入れられ、人々に愛され続けています。

フラワーショーでは、こちらのポストカードの絵柄や色合いとリンクした紅茶のパッケージ、ティーカップが販売されています。

実は、催事限定販売の植木鉢(バーリントンポット)を購入したいと思ったのですが、持ち歩くことが難しかったので断念し、今回はポストカードと紅茶を買いました。

なお、ウェッジウッドは2017年よりRHSとパートナーシップを結び、伝統的なよさを残しながらも新しいテイストを加えた、モダンでハイクラスなライフスタイルの提案を行っています。

まるで秘密の花園に招かれているようなガーデンレストラン
Jardin Blanc(ジャルダン・ブラン)

モスと多肉植物、バラのアレンジがはめ込まれた斬新なこちらの扉(外門)は、開くとドーチェスターホテル運営のレストランやアフタヌーンティールーム、カフェに続いています。インターネットでの事前予約が必要で、ここから先はご予約のお客さまのみ入場可能なエリアです。

このチェルシーフラワーショーが開催されている同時期、5月から7月下旬頃までをイギリスでは「The Season」と呼び、オードリー・ヘップバーン出演の映画『マイ・フェア・レディ』のワンシーンでも有名な、競馬場での「ロイヤル・アスコット・ミーティング」、テニスの「ウィンブルドン選手権」など、ロンドン近郊で社交イベントが催されます。

このようなスポーツ観戦や芸術鑑賞と同じように、庭にお客さまを招いて、ガーデンパーティーを開くこともイギリスの文化の一つになっています。

フラワーショーでは、そのほか、音楽家によるクラシック、ポップス、ロックなどの生演奏や、ミュージカル、オペラが毎日上演されています。

私が訪れた時間帯は、ミュージカル『ウェストサイド・ストーリー』を上演していました。ガーデンの中のコンサートは、イギリスの夏にオススメのイベントです。

David Austin Rose (デビッド・オースチン・ロージズ)

最後にご紹介するのは、デビッド・オースチン・ロージズ。1969年にイギリス人のデビッド・オースチン氏により創立されたイングリッシュローズ専門のバラのナーセリーです。彼の生み出す香り豊かなバラは、日本でも大人気。前を通る度に、芳醇なバラの香りに癒されます。

次回は、フラワーショーで受賞したイギリスの人気品種、これから日本で流行すると思われる新品種についてご紹介します。

チェルシーフラワーショー Information

○会場:Royal Hospital Chelsea(ロイヤルホスピタルチェルシー)

London Gate  Royal Hospital Road  SW3 4SR

・地下鉄:District and CircleLineのSloane Square station 下車徒歩約10分

・電車:Train London Victoria Station

※駅からタクシーまたは有料シャトルバスがあります

○入場時間:8:00〜20:00

○入場券:インターネット事前予約制。開催日が近づくにつれて値上がりすることも。滞在日、訪れる時間によっても価格は変動します。

チケットの販売はRHSのサイトから。

https://www.rhs.org.uk/shows-events/rhs-chelsea-flower-show

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Credit

文&写真 渡邉友紀(わたなべゆき)
静岡県のクレマチスナーセリーに生まれる。大学で園芸学を学んだ後、渡英。ガーデナーの家にホームステイをしながら欧州のクレマチスナーセリーを訪れ、日本向け新品種の発掘、輸入を始める。帰国後、ガーデンセンターで花苗、野菜、宿根草、花木、果樹、インドアプランツ、ギフトフラワーの制作販売に携わる。現在、庭の植栽施工、フラワーデコレーション(会場装花)、フラワーギフトの制作販売、駿河のクレマチスの生産販売、イギリス、オランダ、ポーランドからの新品種の紹介と共に、花のある暮らしを提案している。
Instagram:@yuki0618flower

(株)クレマコーポレーション(有)渡辺園芸 http://clematis.co.jp/

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