朝晩が涼しくなり、一日ごとに秋が深まる頃、紅葉とともに楽しみになるのが、さまざまな植物に実る秋の実たち。色とりどりで形もそれぞれ、可愛らしいその姿を見ると、季節の訪れを感じますよね。今回は、街中やガーデンでよく見かける、秋の実を10種ご紹介します。

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ドングリ

ドングリ
Photo/Africa Studio/Shutterstock.com

秋の実の代表格といえば、ドングリです。つるりとした茶色いドングリの実は、加工しなくても長もちするので、工作の材料などにもぴったり。秋晴れの日に、ドングリを拾って遊んだことがある人も多いのではないでしょうか。ドングリは特定の樹木の果実ではなく、コナラやシラカシ、クヌギ、マテバシイの実など、ブナ科のカシやナラ、シイの仲間の実のことを指します。ドングリらしい形の実に浅い殻斗がつくコナラや、丸くて大きく、いがのような殻斗を持つクヌギなど、形や大きさは種類によってそれぞれ異なります。また、ドングリは植木鉢などに播けば、翌春には小さな芽が出てきます。拾ったドングリの発芽率はあまりよくないので、たくさん拾って試してみるのもいいですね。

マツボックリ(マツカサ)

マツボックリ
Photo/icosha/Shutterstock.com

マツボックリもドングリと同じく秋を代表する実。マツボックリはアカマツやクロマツ、モミ、トウヒなど、マツ科の樹木の球果です。形がよく似ているスギ科の植物の球果もマツボックリと呼ばれることがあります。球果という名の通り、マツボックリは一つひとつの鱗片の裏側にそれぞれタネがついており、それが集まって実を形成しています。たくさんの鱗片が広がってつく独特の形の実は可愛らしく、クリスマスリースなどにも欠かせない素材になります。マツボックリの種類によって形や大きさはさまざまで、中には成熟しても鱗片を開かないものなども。また、多くのマツボックリには、水に濡れると鱗片を閉じ、乾くと開くというメカニズムがあります。

カキノキ

カキ

秋らしいオレンジ色のカキの実は、食欲の秋にふさわしい、美味しい秋の味覚の一つ。家庭でも育てやすい果樹で、人家の近くに植えられていることも多く、秋になるとオレンジ色の重たげな実がたわわに実ります。樹上の熟した実に鳥たちが集まり、半分つつかれたような実もよく見られる光景ですね。カキには甘ガキと渋ガキがあり、秋に果実が成熟した時の渋みの有無で分けられています。そのままでは渋いイメージのある渋ガキですが、完全に熟させたり、アルコールや炭酸ガスで脱渋したり、干し柿にしたりすれば、美味しく食べられます。

ムラサキシキブ

コムラサキシキブ

その名の通り、細い枝に艶やかで美しい紫色の実をつけるムラサキシキブは、野趣豊かで秋のガーデンの演出にぴったり。ガーデンでは、近縁種でコンパクトに育ち、果実がより集まってつくコムラサキシキブもよく利用され、園芸的にはこちらもムラサキシキブとして流通していることがあります。コムラサキシキブには、平安の歌人・小式部内侍にちなむコシキブという別名も。主として実を観賞しますが、小さな花も淡い紫色で可愛らしいもの。紫色の実のほか、クリアな白い実をつける品種もあり、こちらもガーデンで人気があります。

ヨウシュヤマゴボウ

ヨウシュヤマゴボウ
Photo/Roza_Sean/Shutterstock.com

ヨウシュヤマゴボウは、北米を原産とするヤマゴボウ科の多年草。全国に広く分布し、市街地などでもよく見かける帰化植物で、国内に自生するヤマゴボウとは異なり、紅色を帯びた茎が特徴です。赤紫色の軸を持つ房に白色の花を咲かせ、秋になると黒紫色のつややかな実を垂らします。果実は一見ベリー類にも似て美味しそうですが、果実や根には毒性があるので口にしないように注意しましょう。

イチョウ

イチョウ

街路樹などでも馴染み深いイチョウの木は、秋になると美しい黄色に黄葉する、紅葉の美しい木の一つ。雌雄異株で、雌木に実る黄色い実からは食用の銀杏が採れます。ただし、銀杏の食用とする箇所は内種皮よりも内側であり、表面の果皮は食べません。このイチョウの果皮には独特の匂いがあり、秋になると、この匂いに悩まされるという人も多いはず。そのため、街路樹の多くは実の落ちない雄の木が使われています。

ローズヒップ

ローズヒップ

ガーデンの主役として美しい花を咲かせるバラの中には、秋になると赤やオレンジ色の可愛らしいローズヒップが楽しめるものも。ローズヒップがたくさん採れるバラには、ドッグローズやハマナスなどがあります。秋にローズヒップを楽しみたい場合は、花が咲いた後は花がらを摘み取らずにおき、また、口にしても安全なように農薬の散布などに気をつけましょう。酸味の強いローズヒップは、ビタミンCを豊富に含み、美容効果も高い嬉しい果実。ハーブティーやジャムなどにしても美味しくいただけます。

ノブドウ

ノブドウ

都会でも道端や空き地などのスペースで見かけることが多い実が、ノブドウ。落葉するつる植物で、毎年芽を出す多年草です。葉姿には個体差が大きくあり、切れ込まないタイプや浅く切れ込むもの、深く切れ込むものなどがあり、切れ込みが深いものはキレハノブドウと呼ばれます。秋になると房状になった丸い実が、緑や白、青紫、藍色など、さまざまに異なる色合いに一つひとつ色づきます。不規則に染まる実は美しく、観賞用としてガーデンで栽培されることもあります。ちなみに、通常の実よりも大きな実は、ノブドウミタマバエなどに寄生された虫えい(虫こぶ)。また、近縁種のブドウやヤマブドウにもよく似ていますが、ノブドウの実は食用にはなりません。

アオキ

アオキ
Photo/guentermanaus/Shutterstock.com

艶のある美しい常緑の葉を持つ低木。濃い緑色の葉のほか、斑入り葉などの園芸品種も多くあり、季節を通してガーデンの演出に利用されます。耐寒性が強くて育てやすく、ガーデンや公園の植栽にも幅広く活用される身近な植物です。光沢がある楕円形の実は、秋から冬にかけては真っ赤に色づき、色の少なくなる冬のガーデンで人目を引きます。耐陰性もあるので、シェードガーデンなどでも活躍します。ちなみに雌雄異株なので、赤い実がつくのは雌株のみ。雌株のみでは実がならないため、赤い実がついたアオキがあれば、近くに雄株があります。

ピラカンサ

ピラカンサ
Photo/TMsara/Shutterstock.com

ピラカンサは生け垣や鉢植えなどによく使われる常緑低木で、バラ科トキワサンザシ属に属する数種類を総称してピラカンサと呼んでいます。春には白い花を咲かせ、秋から冬にかけて真っ赤な小さい実をたわわに実らせる姿は美しく、丈夫で育てやすいので、街中でも見かける機会が多い庭木です。赤い実を実らせるトキワサンザシが特によく栽培されますが、オレンジ色の実をつけるタチバナモドキなどもあります。

秋は多くの草花や樹木にとって実りの季節。それは、ガーデンや街中で育つ身近な植物にとっても同様です。さまざまな色や形、質感を持つ果実やタネは、花々とはまた違った美しさを持っています。天気のよい秋の日には、足元や木々の枝に実る秋の印を見逃さないよう、ゆっくり探しながら歩いてみるのもいいですね。

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Credit

写真&文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

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