バラの香りを水に移したローズウォーターを、自分で摘み取った花でつくってくれるという日本では珍しいローズガーデンをご案内します。場所は、長野県の八ヶ岳南麓。標高1,000mでバラの農場を営むアサオカローズにて、8〜10月下旬の期間限定開催。花好きさんの旅、今回の案内人は、東京でバラを育て、八ヶ岳にセカンドハウスを持つKさんです。

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八ヶ岳のセカンドハウスのご近所アサオカローズにて、ローズウォーターづくりに挑戦。早朝の涼しいうちに、八分咲きの花だけを手摘みしたあと、その日のうちに蒸溜してくれるといいます 。ローズウォーターづくりは初めて! どんな体験になるのか、興味深々です。まずはファームへ花摘みに行きます。

アサオカローズを主宰する浅岡正玄さんの「好きなのを選んでね!」という案内を受けて、「BALAhouse」で大きさデザインがさまざまに並んだカゴの中から好きなものを選びます。わたしはハンドルが一つの丸いカゴをセレクト。腕に下げて、ルンルン花摘みへ。ローズウォーター用に朝摘みするのは、八分咲きの開き切っていないバラです。

「きれいなバラを摘んでね!」とのアドバイスをもらって、一番美しい状態で咲いている八分咲きのバラを見つけては、軽く花を手で包んで、一つずつ花茎をチョキン。まだ咲ききっていないバラを何十輪と惜しげなく摘むという、なんとも贅沢な時間を過ごしました。本当は、つぼみを摘むのがベストなのだそうです。なぜなら、花が開くにつれ香りの成分がどんどん外へ逃げてしまうから。つぼみの状態が香りを一番蓄えているのだそうです。わたしには、まだ開いていない花を切ってしまうのがもったいなくて、ついつい愛らしく花開いた花をカゴに集めてしまいました。

そしてBALAhouseに戻って、いよいよカゴいっぱいに摘んだバラを使って、ローズウォーターづくりです!

今回使ったバラの品種は‘オーバーナイト・センセーション’。宇宙飛行士の向井千秋さんがスペースシャトル内で香りの実験に使ったバラとして有名になった、とても香り高い品種です。花の大きさは6㎝程度と手の平におさまるサイズで、開くと花びらの縁がクルンと反り返ってなんとも愛らしい花姿です。

ローズウォーターづくりに欠かせない水は、近くの秘密の場所にある湧き水を使います。この湧き水は、上流に農薬を使っている農家がない安全な湧き水だといいます。蒸留を始める直前に汲みに行くのもローズウォーターづくりの作業の一つです。木々を抜けるそよ風を頬に受けながら、汲んだ湧き水はひんやりしていて、真夏ということをひととき忘れさせてくれました。緑陰に満ちるマイナスイオンにも癒されましたよ。

カゴからもふわりと香りが漂う摘み立てのバラを、銅製のアランビックの蒸留釜に詰め込んだら、八ヶ岳の秘密の湧き水を注ぎ込みます。芳香蒸留器は、古代錬金術師が使用していたのと同じものだそう。じっくり、沸点にならない低温で数時間煮詰めていきます。蒸留器の中でバラの香りを含んだ水蒸気が水滴になり、一滴、一滴を集めたものがローズウォーターになります。この過程を思うと、ローズウォーターが高価なのも納得ですね。ちなみに、標高1,000mにあるアサオカローズでは沸点が98度くらいになります。浅岡正玄さんによる絶妙な火加減により何時間も煮詰めるのもおいしいローズウォーターづくりの秘訣です。

今回、この摘み取り体験をしたのは8月という真夏。東京では5月中旬がバラの最盛期なので、真夏にこんなにいい状態の香り高いバラを心ゆくまで摘み取れることは、貴重で幸せな体験になりました。アサオカローズで6月に咲いたダマスクローズで抽出したローズウォーターと‘オーバーナイト・センセーション’のローズウォーターの2種類を試飲させていただきました。無農薬のバラを使って、八ヶ岳の湧水でつくられたアサオカローズのローズウォーターは、海外のものとは違い、びっくりするほど香りが優しい。軽やかで爽やかな香りが、口いっぱいに広がります。

私が摘み取った朝摘みのローズウォーターは、蒸留後にスリムなガラスのボトルに詰められて、さらに香りがより良くなるようにと30日ほど寝かせたあと、自宅に届きました。ラベルには、摘み取った人の名前が刻まれています。世界でたった1本のわたしのローズウォーター。開けるのはちょっともったいないけれど、まずは飲料として味わってから、化粧水やリネンアロマ、お菓子づくりにと活躍しました。フタを開けるたびに、バラの香りに包まれたあの天空の花摘みの幸せな時間を思い出しました。

Information

「アサオカローズ」
天空のバラ摘み体験は8〜10月下旬。要予約 料金:7,800円
(アフタヌーンスコーンコースなどコースにより異なります)
〒399-0101長野県諏訪郡富士見町境230番地1
BALAhouseアサオカローズ Tel 0266-75-5882
http://www.asaoka-rose.com/
アクセス:中央高速自動車道、小渕沢I.C.から車で約10分

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Credit

写真&文/K

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