庭好きな方なら一度は訪れてみたいと思うであろう憧れのガーデンショーが、イギリスのロンドンにて毎年5月に開催されるチェルシーフラワーショーではないでしょうか。今回は、庭の植栽施工やフラワーデコレーションを行う渡邉友紀さんが、実際に現地を訪れて見たチェルシーフラワーショーの様子や、メダルを受賞した名ガーデンを、ショーガーデンの作り手側の視点からご紹介します。

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まるでファッションショーのように華やかなチェルシーフラワーショー

正式名称は「グレート・スプリング・ショー」(The Great Spring Show)ですが、チェルシーフラワーショー(RHS Chelsea Flower Show)のほうが皆さまも馴染みがあるのではないでしょうか。

世界中からガーデンデザイナーが一堂に集まり、ここから新しいデザイン、新品種が広まっていく様子は、まるで花のパリコレやファッションウィークのようです。

ここでは、名誉あるメダルを受賞したガーデンをはじめ、魅力的なガーデンを写真とともにご紹介していきます。

メダルを受賞した名ガーデン

「500 Years of Covent Garden」 Designed by : Lee Bestall

○ショーガーデン部門 2017年シルバーメダル

小さな庭でもジギタリス、ルピナスなど高低差のある植物を植えることで、デザインにリズムと奥行きが生まれます。トピアリーやベンチを対称的に配置することもスッキリと見せるポイント。

DIYの盛んなイギリスは、ホームセンターで売られているペンキのカラーバリエーションが豊富。メインカラーを決めると、植える花の色も決めやすくなります。

「The Welcome to Yorkshire Garden」 Designed by : Tracy Foster

○ショーガーデン部門 2017年シルバーメダル

ショーが開かれる一週間前、ここは更地だったのです。防水シートを張ってつくったとは思えないほど自然な海辺の庭に変身しました。

2018年の「The Welcome to Yorkshire Garden」の小川のある庭も、淡紫、赤紫、青紫、反対色のオレンジが効果的に植えられ、洗練されたコテージの雰囲気が素敵でした。

メダル以外にも、“ピープルズチョイス”という来場者の投票で決まる賞があるのですが、彼女の庭は、それを2018年に受賞しました。コテージ、水の音、蜂蜜色のレンガ、宿根草(冬季や休眠時期、地上部は落葉するが、根は生きていて、春になると開花する多年草)の花々に心が癒される庭です。彼女のデザインがいつも人気投票で上位に選ばれるのもうなずけます。

「The Breast Cancer Now Garden: Through the Microscope」 Designed by : Ruth Willmott

○フレッシュガーデン部門 2017年シルバーギルト(準金)メダル

乳がん患者を支援する団体の庭です。円形のアーチは顕微鏡を表現しています。

「The World  Horse Welfare Garden」 Designed by : Adam Woolcott and Jonathan Smith

○アーティザンガーデン部門 2017年ゴールドメダル

馬の病気の快復、リハビリ、保護を目的とする慈善団体のガーデン。こちらの馬は、蹄に付ける蹄鉄でつくられていることに驚きました。錆びた蹄鉄から、「見捨てられた馬を思い出して」というメッセージが伝わってくるようです。

イギリスは乗馬をする人、馬が好きな人も多く、ピープルズチョイスにも選ばれていました。

「The Morgan Stanley Garden」 Designed by :Chris Beardshaw

○ショーガーデン部門 2017年シルバーギルトメダル

投資会社モルガン・スタンレーがスポンサーの庭。モルガン・スタンレーは、子どもの健康と教育に関する活動に携わっています。

イギリスの庭は、銀行などの企業や財団がスポンサーとなることで、企業イメージの向上やメッセージを発信する場としての役割を担います。

こちらの庭のフラクタル・パターン(全体像と図形の一部分に相似があるパターン)は、自然、音楽、芸術を表しています。屋根に使われている素材は、オーク材と石灰岩。オーク材は古くから欧米人に馴染みがある人気の素材で、耐久性もあり、年月が経つにつれ艶も出てきます。

宿根草が咲き誇る庭は、まさに英国人好み。ピープルズチョイスにも選ばれていました。

ショーの後も教育の一環として使われるこの庭は、ロンドン市内に寄付されることが決まっています。

「Inland Homes: Beneath a Mexican Sky」 Designed by : Manoj Malde

○フレッシュガーデン部門 2017年シルバーギルトメダル

メキシコの空に映えるようなフューシャピンク、オレンジ、エメラルドブルーが可愛い庭。テラスのインテリアを、部屋の延長として考えるのもいいですね。

注目を集めたその他のガーデン

WEDGWOOD(ウェッジウッド)のガーデン

2018年はウェッジウッドガーデンとティールームの両方がお目見え。ティーテイスティング(紅茶の試飲)サロンでは、矢車草、バラなど、花びらが入ったフローラルな紅茶を4種類いれていただきました。

紅茶やティーカップの他に、ウェッジウッドカラーの和洋どちらにも合う陶器鉢も販売されていて、フラワーショーならではの品揃えも楽しみの一つです。

チェルシーのスローン・スクエアのデパート、ジョンルイスにも期間限定のティールームがつくられていますので、ショーの後に立ち寄るのもオススメです。

Raymond Evison Clematis(レイモンド・エビソン・クレマチス)

こちらはレイモンド・エビソン・クレマチスの庭。チェルシーフラワーショーのガーデンをつくる舞台裏から参加させていただいたので、次回は、そこで見た庭づくりのあれこれや、イギリスで人気の品種、イギリスの庭とチャリティー、ロイヤルファミリーと社交界の様子などについてご紹介します。

チェルシーフラワーショー Information

○会場:Royal Hospital Chelsea(ロイヤルホスピタルチェルシー)

London Gate  Royal Hospital Road  SW3 4SR

・地下鉄:District and CircleLineのSloane Square station 下車徒歩約10分

・電車:Train London Victoria Station

※駅からタクシーまたは有料シャトルバスがあります

○入場時間:8:00〜20:00

※朝10時頃までの時間は比較的空いていますが、11エーカー(45,000㎡)の敷地が狭く感じてしまうほど来場者も多く、一日の来場者数が制限されています

※15:30〜20:00は駆け足で見て回れる方にオススメ

※17:30〜20:00は観光の後の夕涼み散策にオススメ

※最終日の〜17:30はガーデンマーケットで最後にお庭の苗を販売

○入場券:滞在日程、時間によってチケット代が変動

毎年開催前にチケットが完売になり、開催が近づくにつれて値上がりすることも。興味のある方は早割がお得です。チケットの販売はRHSのサイトから。

https://www.rhs.org.uk/shows-events/rhs-chelsea-flower-show

 

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Credit

文&写真 渡邉友紀(わたなべゆき)
静岡県のクレマチスナーセリーに生まれる。大学で園芸学を学んだ後、渡英。ガーデナーの家にホームステイをしながら欧州のクレマチスナーセリーを訪れ、日本向け新品種の発掘、輸入を始める。帰国後、ガーデンセンターで花苗、野菜、宿根草、花木、果樹、インドアプランツ、ギフトフラワーの制作販売に携わる。現在、庭の植栽施工、フラワーデコレーション(会場装花)、フラワーギフトの制作販売、駿河のクレマチスの生産販売、イギリス、オランダ、ポーランドからの新品種の紹介と共に、花のある暮らしを提案している。
Instagram:@yuki0618flower

(株)クレマコーポレーション(有)渡辺園芸 http://clematis.co.jp/

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