クリスマスローズ、無事に夏越しできましたか?
今年の夏は記録的な猛暑でした。いつもは大丈夫だった庭植えの株も傷んでしまったり、枯れてしまったなんて方もいらっしゃるのではないでしょうか…。秋はそんな傷んだ株の手当てや植え替え、株分けに一番いい季節です。また、春に軽く根を崩す程度で仮植えして夏越しした株も、忘れずにしっかり根をほぐして、植えたい場所に植え付けを! 株を割ったり、根を切ったり…という作業はちょっと勇気がいりますが、思い切ってトライしましょう。

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秋は株の断捨離の最適期

夏の間、半休眠状態だったクリスマスローズ。夜温の低下に伴って、9月下旬頃から根が動き出します。生育適期となる10月以降は、一年で最も根の伸長が盛んになるので、かなり手荒に根を切ったり割ったりしても大丈夫。次の夏までの長い間に十分な根張りが確保でき、株は順調に回復できます。こうしたことから、寒さで生育が停滞するまでの秋のこの期間が、株分け・移植の最適期とされています。

写真のように、新根は新しい芽の付け根からどんどん伸びていきます。株の基部から新しい芽が分化し、その付け根のところから根が伸びる。こうして外へ外へと広がるように株は成長していきます。株の中心部では、芽も根も込み合って新しく出にくいうえ、ムレを生じやすいため、株が大きくなると真ん中がハゲたような状態になります。

株を分けることは、株を傷つけることなので、植物にとって負担にならないわけではありません。でも、株分けすることによって、活動しなくなった根や死んでしまった芽を取り除くことができ、若い部分が伸び伸びと成長できるようになる…いわば株の断捨離なのです。思い切って、大胆に株の若返りを図りましょう。

株分けの仕方

掘り上げた株の土を落とし、どの辺りから自然に分かれそうか、いくつに分けられそうかを見極めます(小さく分けると数は増えますが、回復に時間がかかるので、3~5芽を目安に)。

葉が邪魔であれば、この時に切り落としてもよいでしょう。

芽の付け根より1㎝くらい下、芽と芽の間の分けられそうな部分にマイナスドライバーを差し込みます。

一気にグッと差し込んで、株の分かれ方を見ながら分割していきます。根の付いていない小さな芽がとれてしまわないように、間違ったら途中でも差す場所を変えて、無理なく分かれるところで分割していくことがポイントです。

芽が勢いよく伸び、根がしっかりついているものは、1芽だけに分割。分割のダメージが小さく、若返った分、元気のよい株になります。

こちらの写真くらいであれば許容範囲ですが、根の基部の下の方にある古根は、新根の伸長の妨げになるので、ドライバーを差し込んで外します。外した古根は、土に活けておくと新しい芽が吹いてくることも!

一度に何株も分割する際は、ウイルス病などの感染予防のため、株ごとにハサミやドライバーをバーナーなどで消毒することを忘れずに!

植え付けの仕方

〈庭植えの場合〉

1.植え穴を掘り、元肥と堆肥や腐葉土などの有機物を入れて土と混ぜ合わせます。

2.根を広げ、元の深さくらいに埋め戻し、根と土を密着させるように、株元をしっかり押さえます。フカフカならば踏んでもいいでしょう。

3.さらにその上に土をかけて平らにし、たっぷりと水をかけます。

株元の水はけをよくして、降雨の跳ね上がりや水圧を和らげるため、バークチップなどを敷くのもGood!

〈鉢植えの場合〉

1.底土を入れ、なるべく根が広がるように株を置きます。

2.ドライバーや割りばしなどでつつきながら、隙間のないように土を入れます。

3.芽が少し隠れるくらいまで土を入れたら、株元の土をしっかり指で押さえて安定させ、最後にたっぷりと水をかけます。

夏の間に葉がなくなってしまったら…

「枯れてしまった!」とあきらめるのはまだ早い! まず鉢の土を出してみましょう。

半分は根がボロボロになって腐ってしまっていても、基部がかたくしっかりしていて、白い芽やあめ色でかたい生きた根がついていれば、再生できる可能性があります。腐った部分や黒変して折れた根を取り除き、雑草の根っこなどを取ってきれいにしてから植え付けます。水洗いや殺菌剤に漬けるなどの作業は、必要に応じて行ってください。

夏越し株の植え付け

春に夏越しのため軽く根鉢をくずしただけで仮植えしていた株は、思い切って根をしっかりほぐし、傷んだり腐ってしまった部分を取って、植えたい場所に植え付けます。

株分けのついでに…

秋の早い時期だとまだ区別がつきにくいのですが、11月頃になると、秋に新葉が出ない株や、充実した大きな葉が地面に倒れてきた株は、葉の付け根にぷっくりとした花芽ができています。冬になると生育は徐々に停滞していきますが、雑菌の繁殖も少なく、春からの根の伸びもあるので、株分けは十分できます。花芽の部分を鉢に上げ、日当たりのよい室内に置いておくと、外より一足早く花を楽しむことができますよ。

葉はいつ切るの?

夏までの間に働いてくれていた葉も、秋後半にはその役目を終えます。花芽に光を当てて開花を促すためには邪魔になるので切ったほうがいい。でも、寒風で芽が傷むのを防ぐには残したほうがいい。まだ緑が残っているので、冬の緑の少ない庭にクリスマスローズの葉があるだけでもうれしい…など、いろいろな考え方があると思います。春の開花期にはさすがに邪魔になりますが、正直なところ生育上大きな差にはならないので、古葉切りは必ずこの時期に行うべきということはありません。ご自身の好みに合わせてもよいと思います。

見事な大株に育って、毎年たくさんの花をつけて楽しませてくれるクリスマスローズ。株分け・植え替えは何年に一度は必ず、ということはなく、順調に株が育っているうちは特に心配はいりません。

ただ、株の真ん中がハゲてきたり、根詰まりのために花茎が伸びず、地際で花が咲いてしまったり、といったクリスマスローズからのSOSサインを見逃さないことが大切。適期にお手入れすれば、何度でも若返って、いつまでも美しい姿を楽しませてくれます。

それにしても、株分けで若返り…人間もできるといいんですけどねぇ。

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Credit

写真/文責 大森玲子
筑波大学農林学類卒業後、千葉県で農業改良普及員として勤務。
結婚後、夫と共に自然と共にある暮らし・環境に負荷の少ない農業を志し、『びいなすふぁあむ』を始める。当時はほとんど知られていなかったクリスマスローズの有機無農薬、露地栽培という独自方法での生産に取り組む。近年は“花の季節感、野にある姿の美しさを”伝えるべく、原点に返って、庭で楽しむクリスマスローズの普及に力を注いでいる。

◆びいなすふぁあむ
〒989-1501 宮城県柴田郡川崎町大字前川字裏丁34
TEL 0224-84-4911
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