植物を育てる人のごくごく個人的なガーデンストーリーをご紹介します。今回は、山林を自ら造成し、裏の森へとけこむような土地で花と緑に囲まれて暮らす北海道の山崎亮子さんのストーリー。花と遊ぶ時間について、教えていただきました。

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花盛りを目前にした6月の庭で

前回の「私のガーデンストーリー」でご紹介した、芝地を囲むように野の花が咲く場所には、これまで赤いベンチが置かれていましたが、ちょっと飽きて、空色の庭イスと場所を入れ替えました。5月にはスイセンなどの春の球根花たちが育っていた庭も、一月で草丈はグングン伸びて、芝地の草抜きも埋もれるようにやっています。

これからバラが咲き、一番庭が輝く季節がやってくるはずでしたが、今年はとっても雨盛り。お願いだから、雨足の強さを半分にしてください! と天に願ったのですが、連日のようにバケツをひっくり返したように降りました。

咲き始めたばかりのシャクヤクは、昨日まで満開だったのに、一夜にしてボッキボキです。

大雨の後は花たちを救出

雨に打たれたシャクヤクたちを、サクサク切って家に連れて帰って来ました。この日のガーデンルームは紅色に染まり、この後、窓辺に吊るしてドライにし、クリスマスやしめ飾りに使おうと思います。

今年は、他の地域でもそうだったように、北海道もバラの生育のスピードが速くて、6月下旬には、今にも咲きそうにつぼみをたくさんつけました。去年ネズミに食べられて、弱り切っていたのが嘘のよう。

イングリッシュローズの‘メアリー・ローズ’と、‘ガートルード・ジェキル’は、一番花の開花が1週間から10日ほど早いイメージです。息子のバラも、咲きそうなつぼみが33個あると喜んでいました。ですが、今年は毛虫がいっぱい。食べられなければ、もっとあったそうです。

野ばらもご覧のありさま。うーん、捨て置けない!

こんなとき、私はハサミで真っ二つに。「わあ、2匹が4匹に! 事件だっ」「もしも閻魔大王が毛虫だったら地獄行きだね〜」と夫は笑います。

でもね、笑っているうちに、夫のバラはつぼみをほとんど食べられ、この調子では、今年もほとんど咲かないでしょう。咲かないバラを見たら悲しむので、やっぱり代わりに毛虫を成敗してあげました。コッソリね。

バラの季節のメール文通で

「Garden Story」の編集部さんから、ポストカードが届いたので、お礼に写真のパフェを送りました。そしたら、「なんてかわいい! 今年のインスタ映え写真♪第一位に決定です」なんて、お返事が届きましたよ。

このパフェの正体、実はイングリッシュローズの‘クロッカス・ローズ’。咲きたては、まるでソフトクリームみたいだと思って。サクランボを飾って、庭のジューンベリーを並べたら、庭に訪ねてきた友だちも、ワッと盛り上がった大笑いのウェルカムフラワーのでき上がり。

食べ物でイタズラしてごめんなさい。でも、サクランボは美味しくいただきますから、無駄にはしていませんよ。うふふ。バラは、おしゃべりの間中、一緒に過ごすテーブルフラワーです。

バラも一斉に咲き始めて、庭にいたいのは山々ですが、これから数日留守にするというとき。花がらが葉にベトベトついてしまうのが嫌なので、一斉にカットしました。ただでさえ雨でグチョグチョの花を見るのはたまらないので、今年は特に、家中花まみれでした。

花と遊ぶのは楽しいです。バラのフルーティーな香りを嗅ぐと、嫌なことは全部吹き飛びます。自分で世話したバラだから、なおさらです。

花瓶に挿すには短い花首の場合は、花の根元に画鋲で穴をあけて、ワイヤーを通して小枝に吊って、香りを楽しむモビールにします。

フレッシュで香りが漂う頃もいいし、次第に落ち着いた色に変化していくモビールも大好き。

この地で庭と暮らして12年。庭に興味のなかった夫が「野ばらの『桜』が咲いたよ、きれいだよ」と寝込んでいた私に知らせてくれました。私も見に行きたいと思い、身体を上げて歩くうち、気持ちが晴れていきます。

好きな場所で、好きなものを、家族と分かち合って暮らせること。

なによりの贅沢で、今の私の生きる力です。

今年は、小さなアジサイの苗も買いました。日陰になりつつある我が家の庭で、いつまでも無理なく庭とつき合いたいと思っています。

庭話は楽しいので、ついつい長くなりました。

Credit

写真/山崎亮子

取材&文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

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