庭づくり、植物選びに“マンネリ“しているあなたへ。分類の垣根を取り去った植物セレクトで話題の、ボタニカルショップのオーナー&園芸家の太田敦雄さんがお届けする連載「ACID NATURE 乙庭 Style」。今回ピックアップする植物は、懐かしいのにカッコいい! 耐寒性のアロエ。庭の面白さや植物の可能性のアンテナを刺激します。

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乙庭店頭植栽のアロエ・ポストゲニータ。

屋外使いすると新感覚! 耐寒性のアロエ

群馬県高崎市でのアロエ・ストリアツラ屋外植栽例。這性のグレビレアやユッカ・ロストラータなど乾燥地系の素材と合わせて。

今回は、ぜひ屋外植栽やベランダガーデンに取り入れてほしい、耐寒性のアロエをご紹介します。ちょっと昭和っぽい、懐かしい雰囲気も漂わせつつ、現代的なドライガーデンでも独特の存在感を発揮するアロエ。上手に植栽に組み込むと面白い素材です。

アロエ・アルボレスケンスとウチワサボテンのあるカリフォルニアの風景。 Photo/ Bill Perry/ /Shutterstock.com

上写真は温暖でカラッとした気候のカリフォルニアでの植栽例ですが、アロエやサボテンも、耐寒性の素材をうまく選ぶことで、ワイルドカッコいい乾燥地テイストを再現できます。

「キダチアロエ」の名でおなじみのアロエ・アルボレスケンス。Photo/ Grigoriy Pil/ /Shutterstock.com

みなさんは、「アロエ」と聞いて何を連想しますか? 昭和を生きた方だったら、やはり玄関まわりや軒先の花台に並べられていた、キダチアロエが真っ先に思い浮かぶのではないでしょうか。

アロエベラ Photo/pinkomelet/Shutterstock.com

健康食品やスキンケア用品に使われるアロエベラを思い浮かべた方もいるかもしれません。このように、アロエは日本人の生活に最も身近で、馴染み深い多肉植物といえますね。

アロエは、南アフリカ、マダガスカルなどに約400種が分布するツルボラン科の多肉植物です。個性的なルックスの種も多いことから、通な多肉植物愛好家にも人気があります。近年の観葉植物ブームを受けて、幹立ち姿がカッコいい樹木性種や、レアな原種を屋内で育てている方も多いでしょう。

キダチアロエなどの普及種から、とても高価で取り引きされている超レアな原種まで、アロエ属の仲間は、種類も伴うイメージも、バラエティ豊かです。

乙庭店頭でのアロエ・ストリアツラ植栽例。カンナやバナナの仲間とトロピカルな雰囲気で。

非耐寒性種が多く、日本だと冬は屋内に取り込む印象が強いアロエですが、中には耐寒性のある種もあります。性質に合わせて、よく場所を選んで植えることで、新しい雰囲気の屋外植栽を演出することができます。

キダチアロエの花。 Photo/Bill Perry/Shutterstock.com
アロエ・ストリアツラの花。

トリトマに似たアロエの花もこれまた昭和っぽく、ちょいダサさとカッコよさを複雑なバランスで兼ね備えていて面白い素材ですね。このようなアロエの魅力をいろんな側面から引き出し、楽しんでみてはいかがでしょうか。

耐寒性のあるアロエの育て方

次に、関東平野部以南の温暖地で、屋外やベランダでも育てやすいアロエをご紹介します。耐寒性があるとはいえ、主にアフリカ原産の多肉植物ですので 暖かい場所を好みます。冬の雪や雨、強い霜、長時間の凍結などにあうとひどく葉傷みしたり、枯れることもあります。南向きで、水はけや日当たりのよい場所を選んで植えましょう。屋根で霜よけできるベランダなどが好適です。

アロエ・ポストゲニータの屋外植栽例。ユーフォルビア・リギダやフロミス・プルプレアなど乾燥地系プランツと合わせて。

夏型の多肉植物です。春〜秋は普通に水やりしてもOK。しかしロゼット中央に水がたまったり、水はけが悪いと根腐れや葉腐れすることがありますのでご注意を。もともと砂漠の植物なので、水やりを控えて乾き気味に管理するほうが安全です。ユーフォルビアやアガベ、オージープランツなど、乾燥地原産の植物と合わせると、水やり管理が揃います。

冬に土が湿った状態で凍るのが苦手です。冬は生育も止まりますし、多肉質の葉に水分を蓄えていて、乾いても長く生きられるので、冬の間はほぼ水やりをせず、土を乾かして管理することで、より耐寒性が発揮できます。

耐寒性アロエ5種。各種の注意ポイント

乙庭でも植栽に使っている耐寒性アロエを5種ご紹介します。それぞれ耐寒性や耐暑性に差がありますので、性質に合った植え場所選びが大切です。

セレクト1 アロエ・ストリアツラ
Aloe striatula

耐寒性は-7℃程度。耐寒性・耐暑性ともに強く、寒冷地を除き、比較的安心して屋外植栽できる。高さ1m程度に育つ木立ち性。分岐してロゼットが群生するとワイルドで見事。

セレクト2
アロエ・ブレビフォリア・ポストゲニータ (姫竜山)
Aloe brevifolia var. postgenita

耐寒性は-7℃程度。屋外でも育てやすい水色葉が美しい小型種。ゆっくりだが子株が増えて群生化していく。ドライ植栽のちょっとしたグラウンドカバーに。

セレクト3 アロエ・ポリフィラ
Aloe polyphylla 

Photo/Gil.K/Shutterstock.com

スパイラルアロエとも呼ばれ、株が成熟するにつれ、ロゼットが螺旋状にねじれた姿になっていく稀少種。

-5℃程度まで耐えるが、高山性で高温多湿がやや苦手。霜や蒸れで姿が乱れないよう、鉢植えで管理し、寄せ鉢植栽などに使うとよい。

セレクト4 アロエ・ノビリス (不夜城)
Aloe nobilis

「不夜城」という和名で流通している普及種。深緑色のぼってりした姿がいかつくカッコいい。耐寒性は-3℃程度。土を乾燥させ、霜をよけることで葉先の傷み程度で越冬可。育てやすいイメージがあるが、夏場、ロゼットに水が溜まると蒸れて腐りやすい。雨ざらしにならないベランダガーデンのフォーカルポイントに。

セレクト5 アロエ・アルボレスケンス (キダチアロエ)
Aloe arborescens

群馬県高崎市、霜にあたる屋外での植栽例。この場合、霜や凍結で冬場は地上部がとても傷む。常緑で育てるには霜よけできる場所に置くのがポイント。

日本でも古くからおなじみの普及種。-3℃程度の寒さに耐える。完全に枯れはしないが、霜に当たると、葉茎がボロボロになりやすい。常緑で越冬させるなら、霜よけできる場所で管理を。

「古いものはけっして古くない。新しいものが古くなっただけである。」
(フリードリヒ・リュッケルト 詩人・東洋学者 1788 ―1866)

Credit

写真&文/太田敦雄
「ACID NATURE 乙庭」代表。園芸研究家、植栽デザイナー。立教大学経済学科卒業後、前橋工科大学で建築デザインを学ぶ。趣味で楽しんでいた自庭の植栽が注目され、建築家とのコラボレーションワークなどを経て、2011年にWEBデザイナー松島哲雄と「ACID NATURE 乙庭」を設立。著書に『刺激的・ガーデンプランツブック』(エフジー武蔵)。オンラインショップでは、レア植物や新発見のある植物紹介でファンを増やしている。
「ACID NATURE 乙庭」オンラインショップ http://garden0220.ocnk.net
「ACID NATURE 乙庭」WEBサイト http://garden0220.jp

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