ドイツのキッチンガーデンは、いろいろな野菜や花を取り混ぜた、カラフルできれいな混植花壇が主流。後編では、いったいどんな植物の組み合わせがあるのか、具体的なガーデンテクニックについて、エルフリーデ・フジ=ツェルナーさんに解説していただきます。

Print Friendly, PDF & Email

相性のよい植物の組み合わせ

前回ご紹介した通り、ドイツでは各種さまざまな種類の野菜や花を混植したミックスガーデン“MISCHKULTUREN”が一般家庭によくつくられています。“MISCHKULTUREN”のポイントは2つ。植物同士の相性のよさと、ガーデンの彩り。今回は、ドイツのガーデンでよく見かける植物の組み合わせをいくつかご紹介します。病害虫の防除に効果が期待できるものもありますよ。ぜひ参考にしてみてください。

ニンジン&タマネギ

ニンジンとタマネギの組み合わせは、非常にポピュラー。ニンジンはタマネギバエの、タマネギはニンジンにつくキノコバエの忌避に効果があり、互いによい影響を与え合う組み合わせです。葉の様子もそれぞれ全く違うので、見た目にも変化が出ます。タマネギの代わりに長ネギを植えることもよくあります。

イチゴ&ニンニク

ニンニクとイチゴの組み合わせは古くから知られ、ニンニクは、カビの一種であるボトリチス属や、イチゴにつくダニなど、イチゴの病虫害を防ぐ効果が高いと考えられています。

マメ類&キダチハッカ

日本ではあまりメジャーなハーブではありませんが、ヨーロッパでは“マメのハーブ”ともいわれて親しまれているキダチハッカは、もちろんマメ類と組み合わせます。アブラムシを防ぐのに効果があるのだとか。爽やかな風味で豆料理に欠かせないので、その意味でもマメと一緒に育てるのが一般的です。

レタス&コールラビ

レタスはノミトビヨロイムシという、コールラビを食害する害虫を遠ざけてくれると考えられています。コンパニオンプランツとして有用なのは野菜だけでなく、花と組み合わせることも。

カレンデュラ・オフィキナリス&レタス

キンセンカという名でも親しまれているカレンデュラ・オフィキナリスは、レタスの周囲をぐるりと囲むように植えると、ナメクジよけの効果があるそう。日本では、カレンデュラ・アルベンシスもよく出回っていますが、こちらでも同じ効果があるのでしょうか? 試してみるのもよいですね。

ジニア&トマト

ジニアは、土の中に生息し、農作物に被害をもたらすネマトーダ(線形動物)に対して有効。初夏から秋まで咲き続けるジニアは、トマトの収穫期にガーデンを彩ってくれる意味でもぴったりです。

レイズドベッドにキャベツとナスタチウム、タマネギ、レタスなどをミックスして植え込んだキッチンガーデン。

このほかにも、トマトとバジル、レタスとハツカダイコンの組み合わせや、ナスタチウム(キンレンカ)とズッキーニやキャベツなど、相性のよい植物の組み合わせは非常にたくさんあり、ここで書いた組み合わせや効果はごく一部です。その一方で、フェンネルとトマトなど、あまり相性のよくない組み合わせもあるので、ご注意を。また、連作障害を防ぐために、毎年植物を入れ替えるのも大切です。

いろいろなレタスを集めたカラフルなレタスガーデン。端にはイチゴも。

私の実家の“MISCHKULTUREN”

私の家には、以前誰も手入れをしていない芝生の庭がありました。手入れをしないので、芝も伸び放題になっていて、ある時、近所でのバーベキューから帰ってきてふと庭を見たら、なんと蛍が飛んでいたほど。毎日見ている庭でしたが、蛍がいることに気づいたのはこの偶然の機会があったから。意外と身近な幸せに気づくのは難しいですね。

さて、このほったらかしだった芝生の庭、今では父の手によって立派な“MISCHKULTUREN”に変貌しています。きっかけは今から6~7年ほど前、この庭に余った土が運び込まれ、小高い土の山ができたこと。それを見て、父の長年の友人が、いくつか余っている野菜の苗を持ってきてくれたことが始まりです。父はもともと農家でしたが、家庭菜園のように小さな野菜をつくることにはあまり興味がなく、せっかくいただいた苗も、好きなところに植えたらいいと言って、その人に植えてもらっていました。世話もほとんどしなかったのですが、場所や土に合っていたのか、順調に生育してたくさん収穫することができました。以来、こんなに簡単に野菜の栽培と収穫ができるのか、と野菜づくりにはまってしまい、今ではいろいろな野菜を植えて毎日世話をしています。苗をくれた例の友人が家に来ると、植物談議に花を咲かせたり、その人の庭を見に行ったり。庭の手入れをすることで、毎日が充実して楽しそうに暮らしています。ドイツの実家に行ったときには、父が育てた美味しい野菜が食べられるのも、ひそかな楽しみです。

ミックスガーデンをつくってみよう

自分でもミックスガーデンをつくってみたいな、と思ったら、まず、苗選びのプランを立ててみましょう。そのために、自分が育てたい植物を一つ決めます。食べてみたい植物や、育ててみたい植物など、基準は何でも構いません。ただ、栽培する場所の気候や土に合ったものを選びます。一つ決まれば、あとはその植物と相性のよい植物を選んで組み合わせを。その際、彩りや葉の質感など、見た目でもアクセントとなるように組み合わせを決めます。野菜や花、ハーブを一つの場所にまとめて育てると、見た目もとても美しくなります。例えば葉が固いコールラビには、柔らかな印象の葉を合わせると、重たい印象にならなくて済みます。銅葉のレタスと緑葉のレタスを一列ずつ交互に植えて、色彩に幅を持たせるのもよくある手法です。

また、植えるときは、背の高い植物が真ん中、背の低い植物が周囲に来るようにするのが普通。タマネギとニンジンであれば、タマネギが中、ニンジンが外ですね。収穫期が遅い野菜も、内側へ。また、よく広がるナスタチウムは、大きく成長させるため、必ずといっていいほどガーデンの端や周りに植えられます。

個性的で面白い野菜の葉。さまざまな形や色のものがあり、ガーデンに変化がつく。

ミックスガーデンでは、それぞれの栽培環境に合わせた植物をチョイスして組み合わせるので、オリジナリティーがとても大切。ここでご紹介した組み合わせやつくり方にこだわることなく、自分に合った一番よい方法を見つけるのも大きな楽しみです。例えば、強い風の吹くベランダで栽培する場合、周囲に風よけになるような植物を配して育てるのも立派なミックスガーデン。地植えの庭だけでなく、レイズドベッドやコンテナガーデンでもつくることができます。

ミックスガーデンのでき上がりは千差万別。オリジナリティーを大切に、ぜひ自分なりの“MISCHKULTUREN”にトライしてみてくださいね。

Credit

話/Elfriede Fuji-Zellner
ガーデナー。南ドイツ、バイエルン出身。幼い頃から豊かな自然や動物に囲まれて育つ。プロのガーデナーを志してドイツで“Technician in Horticulture(園芸技術者)”の学位を取得。ベルギー、スイス、アメリカ、日本など、各国で経験を積む。日本原産の植物や日本庭園の魅力に惹かれて20年以上前に日本に移り住み、現在は神奈川県で暮らしている。ガーデニングや植物、自然を通じたコミュニケーションが大好きで、子供向けにガーデニングワークショップやスクールガーデンサークルなどで活動中。

写真/Friedrich Strauss/stockfood

取材/3and garden

Print Friendly, PDF & Email