咲かせて、眺めて、飾って嬉しい、小さな庭がある花暮らしを楽しむ前田満見さん。自宅の30坪の庭を生かした、季節の行事を楽しみ、涼し気な風情で暑い夏を快適に過ごすしつらえをご紹介します。

思い出の詰まった七夕飾り

日増しに夏の陽射しが眩しくなる7月上旬。

二十四節気の半夏生を迎えると、いよいよ我が家も夏支度。恒例の七夕飾りを準備し、室内や庭のしつらえを整えます。

子どもたちが幼い頃、待ちかねて一緒につくった七夕飾りも今では寂しいかな、わたし一人の手作業に。毎年、心のどこかで「もうやめようかな…」と思うのですが、まっさらの折り紙を買い足していざつくり始めると、子どもたちとの思い出がよみがえり、「笹の葉サラサラ〜♪」なんて口ずさむほど楽しくなります。

流石にここ数年は、お飾りもシンプルに輪っかと折鶴の短冊だけになりましたが、でき上がった短冊にはいつの間にかちゃっかり娘の願いごとが….。何だか都合のいい話ですが、まだ恒例行事として大切にしてくれているのかなと思うと、それだけでちょっと嬉しくもあります。

庭の夏椿の枝に吊るした色とりどりの七夕飾りは、翠緑の草木に映えて花が咲いたよう。楽しげに風にそよぐさまを目にすると、「あ〜、今年も夏が来たな」と、しみじみ感じます。

涼を奏でる風鈴を窓辺に

昔から、蒸し暑い夏を少しでも快適に過ごせるようにと日本人に親しまれてきた風鈴。今でもこの時季になると、風鈴祭りや店先で素材や形の違うさまざまな風鈴を目にします。もちろん我が家でも風鈴は夏に欠かせません。愛用しているのは錫製の風鈴。小ぶりながら重厚感もあり、和洋どちらにも馴染むシンプルなデザインが気に入っています。風をはらんだ透き通る音色が耳に心地よく、窓際で涼を奏でるその風情に一時暑さを忘れます。

涼やかな緑の葉物をしつらえて

蒸し暑さが堪えるこの時季は、花は控えて涼やかな葉物をしつらえます。オススメはシダ類。手のひらサイズのシダの苔玉をガラスのコンポートに載せたり、庭のつる性のカニクサ(シダ類)をガラスの器に無造作に挿します。

レースのように繊細で軽やかな葉とガラスの器は清涼感抜群。カニクサは、水に強いので沈めて水草のような楽しみ方もできます。こまめな水やりと水替えで、しばらく楽しめるのも嬉しいですね。

室内から見えるテラスのテーブルの上には葉物の寄せ植えを。縦縞の班が入る十和田アシ、細い茎のトクサ、丸いフォルムが愛らしいウォーターマッシュルームの湿地植物を合わせると、水辺の景色が生まれます。そこは、小さな木陰のオアシス。涼しげな景色に癒されます。

Credit

写真&文/前田満見
高知県四万十市出身。マンション暮らしを経て30坪の庭がある神奈川県横浜市に在住し、ガーデニングをスタートして15年。庭では、故郷を思い出す和の植物も育てながら、生け花やリースづくりなどで季節の花を生活に取り入れ、花と緑がそばにある暮らしを楽しむ。小原流いけばな三級家元教授免許。著書に『小さな庭で季節の花あそび』(芸文社)。