鉢で、庭で、今年もたっぷり楽しませてくれたクリスマスローズ。来年も元気でたくさんの花を咲かせるには、これからの時期の管理はどんな点に気を付けたらいいでしょうか? またこの時期、タネが採れるようなら苗づくりに挑戦するのも楽しいですよ。
来年の花は、この後の管理次第で決まる!? そのポイントを解説します。

Print Friendly, PDF & Email

翌年も開花を楽しむために

開花によってかなり体力を消耗したクリスマスローズは、これから新しい根や葉を伸ばし、盛んに生育することで回復し、さらに来年の開花に向けて株を充実させエネルギーを蓄えていきます。一年で一番生育が盛んなこの時期の管理で大切なことは、株の消耗を極力抑えることと、養水分を十分供給して大きな葉を育て、株を大きくすること。そして、その後の高温による障害や病気などのダメージを受けやすい夏を、いかにカラッと涼しく越せる環境をつくれるか、です。

株の消耗を抑え、旺盛に生育させる

1.移植は極力避ける

出たばかりの根を傷めてしまう上、吸水が途切れてしまいます。新葉はまだ柔らかく脱水しやすいので、この時期の植え替えはNG! どうしてもという時は、根を崩さないように。

2.葉を傷めない

これから最も活躍する花の後に出る葉。出たばかりのうちは柔らかいので、春の強風で傷つけないよう、葉がかたくなるまでの間は、風除けなどで保護します。

花の後、新葉が大きく展開する。

3.タネをつけすぎない

開花・結実は株にとってかなり負担の大きいものです。タネを採りたいときは数を決めて、無駄に結実させないよう、早めに花の真ん中にある子房を取り除いておきます。

花の真ん中の子房を切除。

4.病害株の除去

株の力が衰えてくる開花の後半あたりから、ウイルス病やべと病、ブラックデスといった病気を発症するものも出てきます。残念ですが薬剤での治療はできないので、見つけたら速やかに処分し、他の株への感染を防ぎます。

ブラックデスに冒された株。

5.十分な水分供給

気温の上昇と展葉に伴って、葉からの水分の蒸散が一気に盛んになり、水の必要量も多くなります。水が不足すると葉の伸びが滞り、葉が小さくなってしまうので、特に鉢の場合は水切れしないよう気を付けます。

ここで注意したいのは、ただ水をかけているだけでなく、ちゃんと根が水を吸えている状態かどうか。一度乾かしてしまったり、表面の土が固く締まっていたりすると、灌水しても水が鉢全体にいきわたらず、鉢の中は乾いてしまっていることがあります。その際には、表面の土を崩して柔らかくしたり、あまりにも乾いてしまっていたら、一度鉢ごと水につけてたっぷり吸水させたりといった手立てが必要です。

6.タイミングよく施肥する

葉を大きく育てるには、展葉し生長する期間に肥料が効くこと。ゆっくり長く効いてくれる有機質肥料や緩効性の化学肥料を、葉が出る少し前に与えます。夏に肥料分がたくさん土に残っていると、腐れや病気の原因になるので、タイミングが遅れないように。鉢の場合は早めに施肥して、葉色が淡いようなら液肥を与え、葉がかたくなった6月以降は肥料は与えないようにします。

7.花茎の除去

葉が開き活動を始めるまでの間、光合成をして株を支えてきた花茎も、そろそろ役割は終わり。タネを採るのでなければ、早めに取り除きます。そのままでも自然に枯れますが、根元から切除して株元の風通しをよくします。そのほうが来年の花芽分化を促進するともいわれます。

花茎は根元から切除する。

夏越しのための環境づくり

地表面の直下に生長点のあるクリスマスローズは、この部分が高温多湿になりやすい日本の梅雨~夏の気候が大の苦手。だからといって、高温にならない暗い日陰では、花芽の形成に必要な日射が足りず、葉ばかりで花がつきにくくなってしまいます。高い木の根元のような明るい日陰で、地温が上がらず、余計な水分がたまらず、涼しい風が株元を通り抜けるような環境が理想ですが、条件がそろう場所はどこにでもあるわけではありません。工夫して、足りない条件を補うようにします。

水はけのよい場所、西側に高い木がある明るい日陰。

1.鉢の場合

数にもよりますが、時期や天気によって理想に近い条件の場所に移動したり、資材を使ったりして鉢を置く環境を改善します。コンクリートに直置きすると、底の水が抜けない上、真夏は輻射熱で長時間高温にさらされます。鉢は花台やスノコの上に置き、日射が強い時は遮光資材をかけるとか日陰に移動する、雨が続くときは軒下に移すとか雨よけビニールをかけるなど、与えられた条件を考えて知恵を絞ってみてください。

2.庭植えの場合

基本的には、水はけがよいところ、西日が避けられるところに植えれば、あとは雑草との戦い。雑草の勢いの強い時期なので、株元が蒸れたり、草に覆われて葉が腐れたりしないように。ただ条件によって、日当たりがよすぎて地温が上がるところは、盛夏に草をまめに取りすぎないとかバークチップを敷くなど、地面をむき出しにしない工夫も臨機応変に。

麦わらを敷いて株元の地温を下げ、雑草を抑える。

気軽に採種・育苗にチャレンジ

花の真ん中が豆のサヤのように膨らんで、触ると中にかたいものが。これがタネです。はじめのうちは白い色ですが、成熟してくると黒~茶褐色になり、自然とこのサヤが開いてタネがこぼれてきます。

タネから育てると、同じものが二つとない…といわれるクリスマスローズ。どんな花が咲くか楽しみに、花好きの方へのプレゼント用に、苗を育ててみるのも楽しいですよ。

膨らんだサヤの中にタネができている。

1.タネを採る

タネが中にできている花に、お茶のパックなどの袋をかけておき、タネがサヤからこぼれたら、袋を外します。タネは乾かさないように、そのまま株元やポットに採り播きするか、茶袋に入れてタネが重ならないようにして土に埋めて貯蔵しておき、秋に少し根が出始めた頃、ポットなどに播きます。

花全体に茶袋をかける。
H.ニゲルのタネ。
昨年のこぼれダネが発芽している。

株元に双葉を広げているのは、昨年のこぼれダネが発芽したものです。これを根が傷まないようにそっと掘り上げ、育苗箱に並べて移植します。育苗箱のほうがポットより土量が多い分、水やりが楽。夏の間日陰に置いて、秋に大きくなったものをポット上げするか、地床に植えます。さらに大きくなったらお庭に、プレゼントに。手をかけた分愛着が湧きますし、お財布にもやさしいですよ。

葉の付け根をそろえて並べる。

手入れをした結果が出るのは来年の春。「先が長いなぁ」ではなく、「花が咲くまで、ずっとワクワクしていられる」と、待つ時間の幸せに思いを転じましょう。クリスマスローズさん、今年も素敵なお花を楽しませてくれてありがとう。来年また会いましょうね。

Credit

写真/文責 大森玲子
筑波大学農林学類卒業後、千葉県で農業改良普及員として勤務。
結婚後、夫と共に自然と共にある暮らし・環境に負荷の少ない農業を志し、『びいなすふぁあむ』を始める。当時はほとんど知られていなかったクリスマスローズの有機無農薬、露地栽培という独自方法での生産に取り組む。近年は“花の季節感、野にある姿の美しさを”伝えるべく、原点に返って、庭で楽しむクリスマスローズの普及に力を注いでいる。

◆びいなすふぁあむ
〒989-1501 宮城県柴田郡川崎町大字前川字裏丁34
TEL 0224-84-4911
http://venusfarm.blog.jp/

Print Friendly, PDF & Email