岐阜県可児市の国道21号線からほど近く、小さな森の中に花咲くガーデンカフェがあります。かたくり工房の造園家、阿部容子さんの本拠地でもある「ガーデンカフェGarzzz」。仕事に勉強、家事に子育て。毎日を頑張る人がホッと一息つける空間です。

ムベのアーチがガーデンカフェ・ガズーの入り口。

木々の梢が風にそよぎ、サヤサヤという葉ずれの音が入り口で迎えてくれるガーデンカフェ「Garzzz」。ムベのアーチをくぐって歩を進めると、濃密な緑の中に赤い窓枠が愛らしい三角屋根の建物が見えてきます。扉を開けて店内に入ると、カフェの窓の向こうに花咲くガーデンが現れます。広い芝生とそこに点々と色を添える草花が咲く庭は、周囲の森の濃密さと対照的に、明るくゆったりとした空間です。

緑の木立の中に青い壁に赤い窓枠の一軒家が。ここは「かたくり工房」の拠点でもあり、1階がガーデンカフェ、2階は造園事務所になっている。
オルラヤが咲きひろがる6月の庭。庭はカフェ利用のお客様のための占有ガーデン。
森の一角を開いて作った庭。レンガの花壇には、バラや宿根草、ハーブ、季節の一年草が植えられている。
風に揺られて音がなるウィンドチャイム。時折、ガーデンに美しい音が。

さらに庭に寛いだ雰囲気を演出しているのは、アベマキの大木に吊るされたハンモック。「ぜひ乗ってみてください。夏でもこの木の下は涼しいんです。木の葉って何枚も重なり合って光を遮るから、屋根一枚よりずっと涼しいの。改めて木ってすごいなぁって思いますよ」と話すのは、造園家の阿部容子さん。ここは阿部さんが在籍する「かたくり工房」の拠点でもあり、8年前に阿部さん自身が土地を見つけ、小さな森の一部を開いてガーデンカフェを作りました。

キジやタヌキの親子が悠々と通っていくことも。

国道からほど近い場所にもかかわらず、一歩中に入ってしまえば鳥たちのさえずりだけが響く別世界が広がります。「森の木々をなるべく活かして庭を作っているので、外から庭の様子を知ることができないせいもあって、ご近所の方でもカフェに入って初めて“わぁっ、こんな場所があったんだ!”って驚かれる方も少なくありません」。春は球根花や花木が緑の庭に色を添えてゆき、ヤエコデマリの花が終わる頃にはバラのつぼみが緩み始め、庭は甘い香りとともに一気に華やぎを増していきます。

その中でも甘い香りを放つバラ‘ブリーズ・パルファン’が誘引されたデッキフェンス際のテーブルは、一番の特等席。バラの香りを楽しみながら、心ゆくまで庭景色を堪能できます。近くに花フェスタ記念公園があることもあり、バラの頃は最も賑わいますが、庭は一年を通じて見所があります。ブルーベリーやジューンベリー、リンゴなどの果樹やハーブも豊富に取り入れられており、庭のある暮らしの楽しさを感じられるのも魅力です。

ランチメニューの「野菜たっぷりトマトソース」。美味しいもの好きの阿部さんとスタッフで考案したメニューは、食べ物も飲み物も人気。
天才焙煎士川上敦久さんのスペシャルブレンドコーヒー。川上さんの元でドリップを修行したスタッフが淹れてくれる。ショベル形のスプーンはショップで購入可。

個人邸はもちろん、マンションや植物公園、病院など全国でさまざまなガーデン施工を手がける阿部さんですが、「どれも私の“作品”ではありません」と話します。「依頼を受けて造園をするプロである限り、ガーデンは使う人、依頼主のもの。生きている植物を使って、その人が心地よいと感じるように設計図を引くのであって、お客様の気持ちに寄り添うことを一番に考えています」。ガーデンカフェガズーは、かたくり工房の本拠地ではあるものの、庭はカフェを訪れるお客様のもの。ここでは阿部さんの引く「心地よさの設計図」を体感することができます。

ガーデンの手入れをする阿部容子さん。

「雰囲気を楽しんでもらうのと同時に、実際の庭づくりの参考にもしていただけると思いますよ。というのも、ここは冬はマイナス10度近くまで気温が下がって土が凍ってしまうし、夏は蒸し暑い。だから、ここでちゃんと育つ植物だったら、大概の場所で大丈夫。植物にとっては過酷な環境ですが、耐寒性や耐暑性、病虫害の検証をする場所としても役立っています」

春から晩秋まで一年を通して繰り返しよく咲くバラ‘ニューサ’。無農薬でよく育つ。
紫色のピコティがおしゃれなアジサイ‘レオン’(左)。細葉の斑入りショウブは軽やかな印象で洋風の庭にもよく似合う(右)。
カフェの窓ガラスには阿部さんが描いた可愛いイラストが。

夏はこんもり茂った木々が心地よい緑陰を作り、秋にはシイノキやカシワが実を落とし、子ども達が拾って遊ぶことも。「高校生の常連さんもいらっしゃるんですよ。試験が終わったからご褒美に来たんです、なんてニコニコ話してくれて。色々な世代の人にとって、リラックスできる場所になれているなら、嬉しいですよね」。

カフェの名前「Garzzz」は、お昼寝の意味。仕事に勉強に家事に育児に、毎日を頑張るあなた。ちょっと一息つきたくなったら、ムベのアーチをくぐってみませんか。美味しい食事とコーヒーと、優しい庭が待っています。

Information

Garden café Garzzz(ガズー)

岐阜県可児郡御嵩町伏見747
Tel:0574-67-5533
http://www.katakuri.co.jp/garzzz_access.htm

営業時間:9:30〜16:00(ラストオーダー15:30)

営業日:金・土・日・月(12〜3月は金・土・日)

*ガーデンはカフェご利用の方のための占有ガーデンです。ガーデン見学のみはご遠慮ください。カフェの席は限られておりますので、ご予約をお勧めします。

Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。