母娘で17年間、北海道の大地にガーデンをつくり続けている上野砂由紀さんは、楽しみながら自然と親しむ方法をよく知っている女性です。そんな彼女が北海道旭川の「上野ファーム」を舞台に、庭づくりをしながら感じたこと、発見したこと、感動したことを季節の写真とともにご紹介します。ガーデンは思いがけない感動をくれる、心の栄養補給ができる場所ですよ。

“サプライズプランツ”って何だと思いますか?

きれいな花の間から、2mを超える大きなバーバスカム‘ポーラーサマー’がニョキニョキ出てくるとサプライズな印象に。他の植物にはない美しく立派なシルバーリーフも、この植物の魅力の一つ。
花咲く前から、大きな葉が広がる姿に驚くバーバスカム‘オリンピカム’。
2mを超える、見上げるようなダイナミックな花も、ガーデンでは大きなサプライズに。

パーティーなどで、予想できないようなことで人を驚かせることを「サプライズ・パーティー」などと言ったりします。私はガーデンにも、サプライズの気持ちが大切だと思っています。ですので、見る人の気持ちを驚かせ、より植物に興味を持っていただいたり、楽しんでもらえるような植物を植えることがとても好きです。

植物は、花がきれいなだけではなく、大きてびっくりするものや、色や形に驚くもの、成長の過程に驚くものなど、特徴があることを切り口に探してみると、いろいろ見つけることができます。

驚きと興味でガーデンをもっと面白い場所に

アンジェリカ・ギガスは、花だけでなく茎までも渋いボルドーになる個性的な色と姿で人を惹きつけます。一際この植物の個性が目立つように、周りには同じような雰囲気の植物は入れないように気をつけます。

美しい花たちの中に、ポツリと一株、明らかに他の植物と雰囲気が違う植物が混ざっていると、そこには驚きと興味が沸き上がります。私はそんな植物のことを勝手に“サプライズプランツ”と考えて植えています。

どんな植物に驚いてくれるかは、見る人の感性や感覚でさまざまですが、植栽デザインを考えるときに、全部がきれい過ぎるよりも、「こんな所にいきなりこれがでてきたら、びっくりするだろうな〜」とか、「こんな形は不思議がるだろうな」など、見る側の気持ちを想像しながら、楽しんでもらえそうな植物もいくつかセレクトして植え込んでいます。

アンジェリカ・ダフリカは、草丈3m近くなる超大型の植物。見上げるような大きな植物は、その迫力で驚く人が多数。一株だけでも十分存在感と驚きがあります。
ガーデンでもひときわ大きく見えるので、だれもが目を止める存在に。

サプライズだからといって、驚くような植物ばかりを集めても、個々が目立つことがなくなってしまいます。そこはあくまでも、サプライズプランツはさりげなく入れるほうが効果的です。ガーデンの植物を見ているお客様から、「何これー」「面白い!」「びっくり~」という声が聞こえてくれば、サプライズは大成功です。

ダルメラ・ペルタータ、別名アンブレラプランツは、葉が出る前に茎だけが伸び始めて、先端に傘のようなかわいらしい花が咲く面白い植物。花後、フキのような大きな葉が出てきて美しく広がります。不思議な花姿に驚かされます。

植物の面白さは、いろんな表現から広げていくことができると実感します。美しい花だけでつくるガーデンももちろん素敵なのですが、何年も植物を育てていると、たまには味の変わったものが食べたくなるのと一緒で、ちょっと個性のある植物を庭に連れてきたくなってくるものです。

茎と花しかない状態が、見る人に驚きを与えるダルメラ。

どんなことでその植物に驚きを感じてもらえるようにするかは、いろいろな方法が考えられます。例えば、育てるのが難しい植物に挑戦して咲かせてみることや、珍品といわれるような植物をさりげなく取り入れたりします。または、見る人が驚くような巨大な植物を大胆に使って、植えた自分すらも驚かせてくれるような植物に出会うと気持ちがワクワクして、早く庭で育てていろんな人に同じような驚きを感じて欲しくなるはずです。

 

植栽にさりげなく入っているアスパラガス。よく見るとわかるので気づいた人はびっくり。

ガーデンの中にいきなり現れるアスパラガスは、食用ではなくて、あくまでも大きくなった実が付いた状態が面白いので、デザインのひとつとして植えています。見る人は「これアスパラじゃない?」とガーデンという意外な場所で、食卓で馴染みがあるアスパラガスを見つけてびっくりします。

まだまだあります! 上野ファームの“サプライズプランツ”をご紹介

コスモス‘カップケーキ’

花びらがすべてつながってカップ状になっている姿を不思議に思う人が多数。いつも見慣れた花でも、ちょっと雰囲気が違うとそれは驚きに変化。

エレムルス(別名フォックステールリリー)

知られているようで、まだまだ知らない人も多いエレムルス。別名フォックステールリリーとも呼ばれていて、その名の通りキツネのシッポのような花姿が特徴。

2mを超える草丈で、スラリとした花が開花すると必ず名前を聞かれます。咲いた時に、いろんな人が驚いて喜んでくれる植物の一つ。

ジギタリス‘モンストローサ’

一番先端の花だけが、大きなラッパのように開花する面白い表情を持つジギタリス。通常のものとは違う不思議な姿に面白がる人続出でした。

蓮の花

本州ではよく見かける蓮の花は、北海道では寒さのため育ちにくいと思われているため、立派な花を見る機会が少ないことから、上野ファームのサプライズプランツに。大輪の花が庭の池で咲くと、とても驚いて喜んでもらえる花です。うまく越冬できるように栽培して、その地域では難しい植物を咲かせることが驚きにつながることもあります。

アリウム‘レッドモヒカン’の蕾と開花

アリウム ‘レッドモヒカン’の蕾。
薄紫の花穂が立ち上がるガーデンに浮かび上がるアリウム ‘レッドモヒカン’の花。

エゾクガイソウを背景に、不思議な球体が浮いているように見える個性派アリウム‘レッドモヒカン’。咲く前から、不思議な蕾の形が見る人を驚かせて、いったいどんな花が咲くのかドキドキさせています。成長の過程にも個性があって、植物同士の組み合わせの意外さを考えることもサプライズプランツの楽しみ方です。

ぜひ皆さんも、ちょっと庭にもう一味加えてみたいときは、自分なりの感覚で見つけた“サプライズプランツ”をガーデンに取り入れてみてください。見に来てくれた人が、自分の予想通り「びっくりしていた!」「面白がってくれた!」という気持ちが、さらに楽しい庭づくりの意欲へとつながると思います。

上野ファームでは、ここではご紹介しきれなかったサプライズプランツが、今年もたくさんガーデンに待機中です。上野ファームのサプライズプランツにも会いに来てくださいね。

Credit

写真&文/上野砂由紀
北海道旭川にある「上野ファーム」のガーデナー。大学卒業後、アパレル会社に勤務し、園芸を学ぶため退社して渡英。2001年から実家である「上野ファーム」で庭づくりを始め、旭川ではいち早くオープンガーデンをスタート。2008年に放送されたTVドラマの舞台となった富良野の「風のガーデン」や「大雪 森のガーデン」の植栽デザインのほか、全国で講演会・トークショーなども行う。二男の母。
上野ファーム www.uenofarm.net
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