数ある植物の中から今、注目の植物をピックアップするシリーズ「Now blooming」。ガーデナーや育種家、ナーセリーなど、植物の達人たちへの取材を元に編集部がセレクトした植えどき・買い時・咲き時のオススメ植物をご紹介します。今回は、梅雨の時期には欠かせない彩りの花、アジサイをピックアップ。

梅雨時に長く花を咲かせるアジサイ

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しとしとと降る雨の中、青やピンクの花を咲かせるアジサイは、梅雨時の風物詩。乾燥にさえ気をつければ、丈夫で初心者ガーデナーにも育てやすく、日本だけでなく、世界中で広く親しまれている低木です。花のように見える部分はガクが変化した装飾花なので、長期間楽しむことができ、ドライフラワーにもしやすい花。ガクアジサイは周辺部だけが装飾花になっていますが、手まり咲きのアジサイは花序全体が装飾花に変化しています。アジサイは品種によって咲き進むにつれて色が変化するものも多くあり、秋頃に赤や褐色など秋を思わせる色合いへと退色した花を楽しむ「秋色アジサイ」も近年人気が高くなっています。

アンティーク調の色合いをとどめた秋色アジサイは、初夏の花より乾燥しているので、ドライにして部屋に飾っても長く楽しめます。
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アジサイといえば、大きな特徴の一つが、土壌の酸性度による色変わり。酸性の土壌では青い花が、アルカリ性の土壌ではピンクの花を咲かせます。これは、花の持つアントシアニンという色素と、土壌に含まれるアルミニウムの作用によるものだそう。酸性土壌ではアルミニウムが溶け出して根から吸収されやすくなり、アントシアニンと結合して青色を発色、アルカリ性土壌ではアルミニウムが溶け出しにくくなるため、花弁のアントシアニンは赤色を発色します。

土壌の酸性度により花色が変化するかは品種によっても異なり、アントシアニンを持たない白花品種のセイヨウアジサイ‘アナベル’などは常に白い花を咲かせますし、土壌に関係なくきれいに発色する品種もありますが、花色と異なる色を発色させる土壌に植えると、紫色に近い色合いになることがほとんどです。ちなみに、雨は弱酸性のため、雨が多い日本の土壌は弱酸性の場所が多く、日本で見られるアジサイは青系のものが多いそうですよ。

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ヨーロッパに渡って生まれたセイヨウアジサイ

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日本に自生するアジサイは、古くは万葉集にも登場しますが、書物への登場は意外と少ない花。食用にも薬用にもならず、場所によって花の色が変化する様子から「化け花」「七変化」などと呼ばれ、移り気でネガティブなイメージを持たれていた時もあったようです。そんなアジサイでしたが、日本を訪れた外国人にとっては魅力的な花であり、オランダ人医師のシーボルトをはじめ、多くの西洋人が日本のアジサイをヨーロッパへと紹介しました。西洋で改良の進んだアジサイは、セイヨウアジサイとして日本に逆輸入され、現在ではガーデンプランツとして広く人気を博しています。国内での育種も盛んになり、新たな花色や花形の品種が次々に生まれています。

魅惑的なアジサイの数々

「2018日本フラワー&ガーデンショウ」で展示されたアジサイ品種。

今やガーデニングに欠かせない花となったアジサイ。ここでは、2018年4月にパシフィコ横浜にて行われた「日本フラワー&ガーデンショウ」に出品されたアジサイの中から、魅力的な最新品種をいくつかご紹介します。中には県の育成品種など、流通量が限られた希少品種も。紹介したほかにも、たくさんの魅力的な品種が日々作出されています。

‘ディープパープル’
深い濃紫色の花色と、マットな質感がインパクトのある手まり咲きの品種。「ハクサン」出品。

‘美雲’
整った形の花形に、グレーがかった繊細な花色が美しい、八重手まり咲きのアジサイ。島根県出品。

ANTIQUE JEWELL(アンティーク・ジュエル)シリーズ ‘ディープ・コーラル’
アンティークカラーが大人っぽいアジサイは、咲き進むにつれて落ち着きのある色へと変化。「久保田花園」出品。

‘ANGEL WALTZ(エンジェル・ワルツ)’
イエローグリーンからピンク、赤へと花色が移ろい、花姿もガク咲きから半手まり状に変化するユニークな品種。「久保田花園」出品。

‘ポージィブーケ ナナ’
清廉な印象の純白の花弁には、ギザギザの切れ込みが入り、より華やかに。「さかもと園芸」出品。

‘スターリットスカイ ピンク・ブルー’
ウェーブがかったブルーの花弁には絞りが入る、華やかなアジサイ。「川與園芸」出品。

‘ピンキーリング’
ピンクの縁取りとグラデーションが可愛らしい八重ガク咲き品種。「さかもと園芸」出品。

‘銀河’
ブルーに白の縁取りが入る花が爽やか。中心部の咲き方もユニークな八重がく咲き品種。島根県出品。

‘ふわり’
咲き始めは中心にピンクのぼかしが入り、咲き進むにつれて全体がピンクに染まる、サクラをイメージした品種。「Hydrangers FUKUOKA」出品。

アジサイの育て方

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日本に自生するアジサイは、病害虫にも強く、庭植えにすれば特別な手入れを必要としません。耐陰性もありますが、花つきや発色をよくするためには日当たりのよい場所に植えたほうがよいでしょう。やや湿った土壌を好み、水をよく吸い上げるので、鉢植えにする場合は水切れに注意を。水が不足すると、花つきや生育に影響が出ることがあります。庭植えの場合も、晴天が続いて土が乾きすぎているようであれば水やりをします。植えつけは、葉が落ちている時期に行います。鉢植えの場合は、数年に一度植え替えをしましょう。

アジサイは生育がよく、年々大きくなるため、株の大きさを保ったり、花の咲く高さを抑えるには剪定が必要です。剪定の際には、翌年の花芽を落としてしまわないよう、花後すぐに、花から2節ほど下の部分で切り戻しましょう。9月中旬以降に切り戻しをすると、花芽を落としてしまい、翌年の花の数が減ってしまうことがあります。秋色アジサイなど秋まで花を観賞できる種類の場合は、花芽を落としてしまわないよう特に注意しましょう。

大きくなりすぎたり樹形が乱れたりして仕立て直したい場合、休眠期に思い切って株元近くから強剪定を行うと、しばらくして新しい芽が吹いてきます。ただし、花芽を落としてしまうため、翌年は花が咲かないこともあります。

Credit

写真&文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。