誰もが無料で楽しめる、美しい公園が点在するイギリスの中心、ロンドンの町。中でも、ケンジントン・ガーデンズと隣接するハイド・パークは、合わせた面積がおよそ300万㎡、東京ドーム65個分という、羨ましいほどの広さがあります。ケンジントン宮殿の美しいサンクンガーデンを目指して、園内をてくてく歩きます!

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故ダイアナ元皇太子妃ゆかりのケンジントン・ガーデンズ

かつてはハイド・パークの一部だったというケンジントン・ガーデンズは、18世紀前半に、現在の形に整えられました。南北に抜ける道を隔てて、東側がハイド・パーク、西側がケンジントン・ガーデンズ。合わせた面積は、ロンドン中心部の公園として一番の広さを誇ります。北側の地下鉄クイーンズウェイ駅から一歩入ると、とにかく広い!

ケンジントン・ガーデンズは、園内に建つケンジントン宮殿に15年間住まわれた、故ダイアナ元皇太子妃にゆかりの深い公園です。子ども好きだった彼女を偲んでつくられた、ダイアナ・メモリアル・プレイグラウンド(12歳までの子どもとその保護者専用の遊び場)が近くにあるせいか、親子連れを多く見かけます。今回は訪ねることができませんでしたが、流れる川のような噴水、ダイアナ・メモリアル・ファウンテンも、園内の見どころの一つです。

広い園内に花壇はほとんどありませんが、花や葉の美しい低木や灌木が植わっています。もちろん、大きな木々もたくさん生えていて、この緑の景観を途切れなく守っていくために、綿密な植林計画が立てられています。2023年までに年30~50本ペースで植林を続けるという計画ですが、それだけのスペースがあることに、まず、驚きます。

園内に、貸自転車のドッキング・ステーションを見つけました。ロンドン交通局が運営する貸自転車のシステムで、市内中心部に750カ所のステーションがあります。そばにある機械を操作して、予約なしですぐに使える仕組み。交通量の多い市内の道路を走るのは旅行者にはかなり怖いですが、公園内のサイクリングなら楽しめそうですね。

ここではまた、身体の不自由な方が楽に園内を回れるよう、リバティ・ドライブというカート運行サービスが、慈善団体によって行われています(予約制)。

芝生の広がるエリアでは、リスに出合いました。19世紀後半に北米から持ち込まれた、トウブハイイロリスです。在来種の赤い毛皮のキタリスは、南イングランドではほぼ見かけなくなってしまいました。トウブハイイロリスはガーデナーにとっては害獣といわれ、そういえば、筆者もかつて鉢植えの苗を食べられてしまったことがありましたが、緑の中で遊ぶ姿は可愛いですね。

今も王室メンバーの住まうケンジントン宮殿

とうとうケンジントン宮殿までやってきました! 19世紀に大英帝国を躍進させたヴィクトリア女王(石像)の生家であり、現在も、ウィリアム王子とキャサリン妃のご一家や、先日ご結婚されたハリー王子とメーガン妃をはじめとする、王室の方々が住まわれています。宮殿の一部は一般公開されていて、王室の歴史を垣間見ることができます。

そして、こちらがケンジントン宮殿のサンクンガーデン! 噴水のある長方形の池を、花壇が幾重にも囲むつくりです。庭園の3辺は、シナノキの仲間を誘引したトンネルがあって、異なる角度から庭を眺められるようになっています。

春の花壇は、チューリップ、ストック、パンジーなどを使った、明るい植栽。暗いトーンのピンクのストックの上に咲く、白、黄、ピンクのチューリップがなんともキュートです。夏になると、ゲラニウム、ベゴニア、カンナといった、より色鮮やかな植物に変わっていきます。

2017年4〜9月の間、この庭園は、故ダイアナ元皇太子妃の逝去から20年を記念して期間限定でつくられた、〈プリンセス・ダイアナ・メモリアル・ガーデン〉として公開されました。白を好んだ元皇太子妃を偲んで、白いチューリップやバラ、ユリを中心に、スイセンやヒヤシンス、ワスレナグサなどを可愛らしく挿し色に使った、ホワイト・ガーデンでした。

先日ご結婚されたハリー王子は、この庭で婚約発表をされました。もしかすると、このカラフルな明るい植栽は、王子のご結婚を祝って計画されたのかもしれませんね。

ケンジントン宮殿への入場は有料ですが、このサンクンガーデンは無料で見学することができます。また、サンクンガーデンの東側にあるケンジントン・パレス・パビリオンでは、庭園を眺めながら食事やアフタヌーンティーを楽しむことができます。ぜひおしゃれをして、優雅な気分でお出かけください。

〈ケンジントン・ガーデンズ 庭園情報 2018〉

通年開園、6:00~日没まで(季節によって、冬の16:15から夏の21:45の間で変動します)。最寄りの地下鉄の駅は、ランカスター・ゲート駅、クイーンズウェイ駅、ベイズウォーター駅、ハイ・ストリート・ケンジントン駅。
*ケンジントン・パレス・パビリオンは、18世紀に建てられたオランジェリー(近年はレストランとして使われていた)が改修中のため、期間限定で設営されたレストラン兼イベント会場です。オランジェリーは2021年に再オープンの予定。

Kensington Gardens, London W2 2UH
https://www.royalparks.org.uk/parks/kensington-gardens

Credit

写真・文/萩尾 昌美 (Masami Hagio)
ガーデン及びガーデニングを専門分野に、英日翻訳と執筆に携わる。世界の庭情報をお届けすべく、日々勉強中。5年間のイギリス滞在中に、英国の田舎と庭めぐり、お茶の時間をこよなく愛するようになる。神奈川県生まれ、2児の母。

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