梅雨や梅雨明け後の夏を目前に控えた6月は、めまぐるしく気候が変わる頃です。高温多湿は植物にとってもつらいシーズンですが、暑い季節でもナチュラルな庭を楽しみたい方にオススメの草花をご紹介します。ナチュラルでもぼやけずに、見どころをつくるには? の合わせ方のコツもお伝えします。アドバイザーは、愛知・豊田市で一年中、花が絶えないガーデンを作る「花遊庭」のガーデナー、天野麻里絵さん。小さな花壇づくりの基本と、5つのオススメ草花をピックアップしてご紹介します。

暑さに強く、長く楽しめる草花を選ぼう

紫花のサルビアとオレンジの花のダリアが彩る小道。

春先~初夏にかけて咲く草花の種類は多く、いろいろな宿根草も加えると、高さがありボリューム感があるナチュラルなシーンをつくりやすかったですが、初夏以降は端境期で、夏に向かうにつれて花の種類も少なくなりがちです。これからのシーズンを長く楽しむためにまず大切なのが“夏を乗り切るための耐暑性があること”です。初夏のうちに植え込んでおくことで、株を育て、見応えある草姿を楽しむことができます。さらに、開花期が長いこと、そして、よく枝分かれして次々に花が上がることや、花もちがよいことなどがあります。個々の植物のよさを生かして組み合わせ、オリジナルのシーンをつくってみましょう。

ナチュラルを感じさせるポイントって何?

右手前にクレオメ、奥にオレンジやピンクのダリアが咲く庭の一角。

ナチュラルを感じさせるには、花だけでなく、植物の姿全体をよく知っておくことが大切。花以外の茎や葉、枝ぶりをも生かした配置ができると、一層植物の個性が際立ちます。自然な雰囲気では見応えが出ないかと言えば、組み合わせや植え方で見せ場をつくれば、メリハリのあるシーンになります。花の形や草姿の違うものを隣り合わせて、特に見せたいものは数株グル―ピンクすると印象づけもしやすくなります。以下に、具体的なポイントをご紹介しましょう。

① 長い花茎の先に咲かせる個性的な花
センニチコウ‘ファイヤーワークス’

蛍光色のピンクを思わせる色鮮やかな花色が目を引きますが、一輪は花径2㎝程と小さく、ボール状の花が長い花茎で浮かんでいるような、独特の景色をつくってくれます。高性ですが、よく枝分かれするので、同じように枝分かれするアガスターシェやネコノヒゲなどと組み合わせると、互いに重なり合ってストッパーの役割りにもなり、支え合ってくれます。

センニチコウとアガスターシェ、ネコノヒゲが混ざり咲く花壇。

② ボリューム感あるけれどまわりにもなじむライムグリーン
ジニア‘ジャイアントライム’

切り花タイプのジニアで、草丈は茂ると1mほどにもなりますが、茎は固くしっかりとしているので倒れにくいのも魅力。花もちもよく、ひとつの花を長く楽しめます。ジニアの中でも花びらが多く、花径10㎝程でボリューム感がありながらも、グリーンの花色は周りに溶け込んで中性的なやわらかな景色を生みます。

ジニアの隣に個性的な花を咲かせるクレオメが咲く花壇。

③ 個性的な花姿と透き通るような花色
クレオメ‘セニョリータ’

透明感があり淡い花色は涼感があり、他の花色を重ねてもうるさくなりにくく、調和しやすいです。くるんとした愛らしい花形は、他の草花を引き立てる効果も。‘セニョリータ’は種間交雑によって誕生したクレオメで、クレオメ特有のトゲや触ってもべたつきがなく、扱いやすいのも魅力です。草丈80~120㎝でよく枝分かれして、次々開花します。暑さや乾燥にも強い性質です。

女神の像の左右にピンクのダリアが咲くロマンチックなコーナーへ向かう道の左手前に咲くのはクレオメ。庭にナチュラル感をプラスしている。

④ 花もガクも楽しめる
サルビア・ウィッシュシリーズ 2種

紫色の花が満開のサルビア。株元の銅葉はイポメア。

長い花穂は色づいたガクと花びらとのコントラストが美しく、花が落ちてもガクを楽しめ、さらには長期間楽しめるうえにローメンテナンスで育ちます。シャープな花姿で縦のラインが強調されるので、すっきりとした印象に。放射状に株が広がるので、株元に地面を覆うように広がるイポメアを植えてグラウンドカバーにすると、すっきりとまとめやすく花も引き立って見えます。

オレンジ花のサルビアと、ピンク花のダリアの競演。

⑤ 初夏から秋に繰り返して咲く花を主役に
暑さに強い丈夫なダリア

花芯の色や花びらの数、葉の色みなど種類が豊富なダリア。

花色、形、大きさがさまざまあり、バリエーション豊富なダリアは、初夏から秋の庭の主役花にぴったりです。暑さに強い丈夫なダリアは、耐暑性に加えて、ダリア特有のうどんこ病にも強く育てやすい、選抜された品種。ダリアは、秋にも花つきの苗が出回りますが、初夏に植えておくことで株が育ち、気温が下がる秋には一層美しい姿で楽しむことができます。

10月にたくさんの花を咲かせるダリア。

Information

「ガーデニングミュージアム 花遊庭」
所在地:愛知県豊田市大林町1丁目3番地3
☎0565-24-7600 http://www.kayutei.co.jp

アクセス:名鉄三河線「土橋駅」から車で3分

Open:10:00〜17:00(3~6月・9~12月無休/1・2・7・8月は火曜定休)

入園料:4~6月、10月 400円
11~3月、7~9月 300円

Credit

写真&文/「花遊庭」天野麻里絵
1,300坪の敷地に28のテーマガーデンが一度に巡れる「ガーデニングミュージアム 花遊庭」のヘッドガーデナーとして、庭づくり、植栽メンテナンスを手がける。NHK『趣味の園芸』の講師や各地のガーデンでの講演会などでも活躍。『NHK趣味の園芸 4つの役割が決め手! 宿根草でつくる自分好みの庭』(NHK出版)など著書も多数。