庭に咲いた花を樹脂標本として保存できる、家庭向けの「シリンダーディスプレイキット」が日本ヴォーグ社より発売されました。シリンダーの中でその美しい押し花標本の姿を保存できます。窓辺に飾ると、光を受けてキラキラと美しく輝いて見える、樹脂標本キットの特性とつくり方をご紹介します。

写真がなかった時代、植物学の発展のために16世紀のイタリアでは植物の保存技術が発達しました。その方法としては、プレスして二次元的に保存する乾燥標本と、ホルマリン漬けなどのように三次元的に保存する液浸標本の2系統があります。

今回ご紹介する「シリンダーディスプレイキット」は、乾燥標本を使用して試験管タイプの樹脂標本をつくる商品です。どんな特徴があるのでしょうか。開発した「日本ヴォーグ社」の関容子さんを訪ねました。

どんな植物でも、素材を選ばず美しく残せる樹脂標本

もともとは、博物館で樹脂標本をつくるために開発された学術用資材を、一般家庭向けに発売された「シリンダーディスプレイキット」。インテリア雑貨で流行中の「ハーバリウム」と見た目が似ています。

「保存の仕方が、全然違うんですよ。ハーバリウムはオイルを使うので、使える花材が限られたり、運搬中に崩れてしまったりすることもありますね。でも『シリンダーディスプレイキット』は、押し葉標本を入れるので素材を選びませんし、エポキシ樹脂で固めるために崩れることがありません。完成したシリンダーを手荒に扱っても、ビクともしないんですよ」

 

庭のどんな植物でも、素材を選ばず美しいままに残せるのは嬉しいところ。流通期間が短いトレンド品種や、お気に入りの一年草を手元に残しておきたい! さっそくチャレンジしてみたいです。採取した植物をそのまま固めるのでしょうか。

「植物に水分が含まれていると、そこから腐敗してしまうので、採取した素材をしっかり乾燥させて保存性を高める植物標本にしてから使います(『本格的な標本が自宅でつくれる! 庭の花を保存しよう』参照)」

「シリンダーは直径2㎝なので、バランスを見て一枝のみ入れてもいいですし、数種の植物を組み合わせても素敵です。植物標本にすることで平面化した植物も、液体樹脂を流し込むとふっくらしてきますから、見る角度によって印象が変わりますよ。紫外線に当てると、1年ほど経てば退色していきますが、セピア色に変わっていく姿もまた素敵です」

植物標本にした、ラベンダー、ローズマリー、レモングラスなどのハーブ類。

「シリンダーディスプレイ」づくりにチャレンジ!

【キット内容】
プラスチックシリンダー2本、アクリルリング2個、シリンダー立て2個、プラスチック製コップ2個、専用硬化樹脂(基剤40g、硬化剤16g)2セット、マドラー2本、ゴム手袋2セット

【用意するもの】
マスク、ピンセット、乾燥させた植物、竹串、ティッシュペーパー

1/(左)ゴム手袋をはめてマスクをし、プラスチック製コップに基剤を先にすべて入れます。
(中央)硬化剤をすべて入れ混合液をつくり、マドラーでかき混ぜます。
(右)混ぜ始めは、一瞬白濁します。液が透明になるまで約5分を目安によく混ぜ合わせましょう。

2/(左)混ぜた後は、気泡ができています。
(中央)5〜10分放置し、気泡が抜けるのを待ちます。
(右)放置後、液体の透明度が高くなりました。

3/(左上・下)シリンダー立ての穴に、アクリルリングをはめこみます。
(中央)プラスチックシリンダーを立て、植物標本をピンセットで入れて、位置決めをします。液を流し込んだ後は修正しにくいので、バランスを見て、不要な葉などがあればカットしておきます。
(右)2の混合液を流し込みます。プラスチックシリンダーの外側に垂れないように、中央に流し込む要領で。もし液体が垂れた場合は、直ちにティッシュペーパーで拭き取りましょう。

4/(左)液体の量は、プラスチックシリンダーの縁から1㎝程度下までを目安にします。
(中央)液体の気泡は自然に抜けますが、植物についている気泡はそのまま残ってしまうので、竹串で取り除きます。
(右)葉が取れたり、ゴミなどを発見したら、それらも取り除きます。

キャップをはずしたまま24時間放置し、硬化したらでき上がりです。

※硬化前の液体は石油系化合物です。幼児やペットによる誤飲事故のないよう、作業時には十分にご注意ください。

シリンダーのコレクションがまとまった数になったら、ディスプレイ台に飾って、インテリアを彩るのもオススメです。

植物標本シリンダーディスプレイキット 5,400円(税別)
パッケージサイズ286×176×176㎜
http://www.plantart.jp/botanicaldisplay
お問い合わせ plantart@plantart.jp

※植物標本でアートする「プラントアート技術マスター講座」も開講中
詳細はWEBサイト参照 http://www.plantart.jp

Credit

取材&文/長田節子
ガーデニング、インテリア、ハウジングを中心に、ライフスタイル分野を得意とするライター、エディター。1994年より約10年の編集プロダクション勤務を経て、独立しフリーランスで活動。特にガーデニング分野が好きで、自身でも小さなベランダでバラ6姉妹と季節の草花を育てています。草花や木の名前を覚えると、道端で咲いている姿を見て、お友達にばったり会って親しく挨拶するような気分になれるのが醍醐味ですね。
https://twitter.com/passion_oranges/