バラを上手に育てられるようになるまでには、失敗する経験も数多くあります。もし、バラが不調になったらどうすればいいのか? 回復は可能なのだろうか。ここでは、前年の秋冬に「状態が悪い」とバラの専門家に診断され、回復を目指して手入れをしたつるバラの春までをレポートします。

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秋冬に不調と診断された2種のバラが復活した春。左はアーチに誘引した‘ブリーズ・パルファン’。右は、オベリスクに誘引した‘モチーフ’。

もし、いまは調子がよいバラでも、秋冬になって「何だかおかしい」と思ったら、この記事を思い出してください。バラの不調の原因は、病気や害虫もその一つですが、水のやりすぎや根詰まり、肥料を与えなかったなど、いくつか別の要素もあります。

不調の2株の生育状況を診断して秋冬にお手入れ

追跡する株1つめは、四季咲き性のシュラブローズ‘ブリーズ・パルファン’。シュートがよく発生し、繰り返し咲く性質のバラなのに、新しいシュートの発生もなく、春以降に開花した形跡がないことから、「肥料切れ」「根詰まり」を併発と診断。冬に鉢を大きくして植え替え、剪定をしながらアーチに誘引をしました。

回復の方法は『バラの専門家が教える! 特段あまり手入れをしてこなかった鉢植えのつるバラを春に向けて再生させる』をご覧ください。

追跡する株2つめは、四季咲き性のシュラブローズ‘モチーフ’。夏の栽培方法を間違えてダメージを与えてしまったうえ、黒星病を抑えることができず葉が落ち、さらには12月になっても自動灌水の調整をせず一日に2度も水やりをしていたために根腐れを起こしていました。生育不良の原因は「黒星病」と「根腐れ」。鉢をサイズダウンして新しい用土に植え替え、剪定してから小型のオベリスクに誘引しました。

回復の方法は『バラの専門家がズバリ答える! 調子の悪い鉢植えの原因と復活法』をご覧ください。

2株が復活する春の開花までの様子

3月上旬に小さな芽吹きを株全体に確認。

栽培環境は、東京にある南向きのルーフバルコニー。日当たりも風通しもよいので、季節に合わせた水やりと、肥料や病害虫対策をしっかりしていれば、バラの栽培に支障はないはず。しかし、株の成長に合ったサイズの鉢に植えていなかったり、夏バテの株に過剰な水やりで根腐れを起こさせたりして不調に。失敗を繰り返さないよう、水やりに気をつけて春を待つことに。

3月下旬以降、葉の数がどんどん増えていきました。

冬場は、2日に1度の水やりで見守っていたら、3月上旬には、か弱いながらも2株ともに新芽が発生! 植え替え後はバラも休眠時期なので、動きがなくて不安でしたが、新芽が吹けば安心です。もう少し暖かくなるまで、水やりの回数を増やさず、じっと我慢。

みずみずしい緑が茂って回復の兆し

追跡1株目の‘ブリーズ・パルファン’のつぼみの頃。
追跡2株目の‘モチーフ’。つややかな葉が美しい。

4月下旬になると、枝が見えなくなるほど株全体に葉が茂り、晴天の日が続くので一日に1度の水やりに変更。つぼみも膨らみ始め、ホッとしたのもつかの間、よーく観察するとあちこちに不調を発見!

開花前後は、病害虫に特に注意が必要

 

都会のルーフバルコニーにも、バラの害虫はやってきました。写真内①は、エダシャクの仲間が枝に擬態して付着。②のつぼみが半分なくなったのは、①のエダシャクの仲間に食べられてしまった痕です。③は、バラゾウムシ。こんなに小さな体でつぼみや新芽を枯らしてしまいます。見つけたら逃さずに捕獲。④の黒い粒は、①や⑤のハバチの幼虫のフン。床や葉の上に黒い粒を見つけたら、害虫が潜んでいると疑いましょう。⑥は、③のバラゾウムシの仕業です。開花直前のつぼみがやられてしまいました。

毎朝、水やりのたびに葉の茂みやつぼみの先端を点検して、被害が拡大しないように食い止め、美しく株を保ちましょう。

回復を待った2株目の‘モチーフ’は、株のエネルギーをなるべく奪わないようにと、最低限の剪定にとどめたため、新芽を伸ばす力がなかった小枝が枯れました。今後、芽が出る可能性はないため、開花前に切り取ります。

嬉しい開花は、前年の2倍3倍に!

1株目の回復株、‘ブリーズ・パルファン’は、秋冬にアーチの足元に誘引をし、5月上旬に満開を迎えました。パウダーのような優しい甘い香りがあたりに漂い、目も楽しませてくれました。これだけ咲くと、いくら切っても花が減った印象もなく、存分に花を活けることができます。

2株目の回復株、‘モチーフ’は、少し黒星病の兆候が見られるので、病気を拡大させないように観察と薬剤散布を行いながら、次はよいシュートが伸び出るように2年目の栽培をスタート。

不調の株を見抜く方法

‘モチーフ‘は、半八重の6㎝ほどのカップ型の花を房状に咲かせる。葉は明るい緑で、やわらかな紫を帯びた花色がロマンチック。房咲きのつぼみがすべて開くまで、最初の花が残っているので花もちもよい品種と分かる。

2株とも無事に新芽を吹き、開花シーズンを迎えることができました。お手持ちのバラの不調を見抜くには、新しく伸び出たフレッシュな葉の色やつやを覚えておくことが大切です。もし変化が見られたら、それは病害虫によるものかどうかを判断し、被害が拡大する前に対処しましょう。また、その品種の特徴をカタログや図鑑で改めて調べてみると、自分のバラは本来の特徴を発揮しているのかどうか判断ができます。

1株目の‘ブリーズ・パルファン’は、本来はシュートがよく発生する品種なのにまったく出なかったことから、根詰まりや肥料切れに気づくことができました。今後、順調に生育が進めば、大きなアーチが花いっぱいになる日が数年後にやってくることでしょう。その日を期待して、また1年、バラ栽培を一緒に頑張りましょう!

Credit

写真&文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

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