四季がはっきり変化する日本には、豊かな自然と幅広い植物群、そして花を美しく咲かせる技術力があり、海外からも注目されているガーデンがたくさんあります。全国各地で育まれ、訪れる人々を感動させる花咲く数々のスポット。人生で一度は訪れてほしい観光ガーデンへご案内します。

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「クレマチスの丘」は、庭園、美術館、文学館、地場の食材を使ったレストラン、自然公園などで構成された文化香るスポット。庭園は、静岡県長泉町がクレマチス苗の生産地として国内6割のシェアを誇ることから、クレマチスを主役として展開しています。

クレマチスガーデン/ヴァンジ彫刻庭園美術館は、傾斜地に建つ展示棟を中心に、上下2つのエリアに分けて展開されています。園内には、白い花のみで構成されたホワイトガーデン、クレマチスの品種を分かりやすく展示しているポール仕立てのクレマチス、木立性のクレマチスを集めたアイランドベッド、クレマチスとつるバラで構成されている石垣壁など、テーマごとに場面転換があります。各場面でテーマカラーやカラースキームが決められており、植物によるカラーコーディネートは、美術館らしいこだわりの美意識が息づいています。また、庭園内には、ジュリアーノ・ヴァンジの彫刻作品が各所に常設されていて、植栽との調和も見どころです。

クレマチスファンが集う聖地には
レアから最新トレンドまで幅広い品種が集結

クレマチスガーデンには、約250品種2,000株が植栽されています。早春咲きのアーマンディー系からスタートし、フォステリー系、モンタナ系、早咲き大輪系、遅咲き大輪系、インテグリフォリア系、ヴィチセラ系、ヴィオルナ系、テキセンシス系、フロリダ系、ヴィタルバ系、シルホサ系、そして冬に開花するアンスエンシスへとリレーし、一年を通して開花。最も多くのクレマチスが咲くのが6月初旬です。クレマチスは最新品種はもちろん、日本作出のあまり生産されていない希少な品種なども揃え、年々数を増やしています。トレンドや珍しい品種を求めるなら、ぜひ足を運んでおきたいクレマチスの聖地です。写真は、‘セム’、‘ジェニー’、‘ジャックマニー’、‘テンテル’、‘ベラ’が混ざり咲くフェンス。

園内が最も華やかになるのは、バラ(約100品種900株)とクレマチスが競演する5月中旬〜下旬。クレマチスとバラの組み合わせでは、クレマチスのつるでバラの生育が邪魔されないよう、またバラの棘がクレマチスのやわらかい新芽を傷つけないようにと、誘引の工夫が随所に見られます。クレマチスとバラを共存させる植栽術からは、個人の庭でのガーデニングのヒントも得られそうです。

左写真は、4月上中旬のチューリップが咲き乱れるホワイトガーデン。白花のクレマチス20品種を中心に構成されています。代表的な品種は‘アンスンエンシス’、‘アーマンディー’、‘モンタナ・スノーフレーク’、‘白万重’、‘アルバ・ラグジュリアンス’、‘ロコーコラ’など、できるだけ強健で多花性の品種を選んでいます。

右写真は、ポール仕立てのクレマチスのコーナー。高さ3mと3.3mの鋳鉄製ポールを計約100本設置してクレマチスを絡め、品種名や花の特徴などを書いたラベルを付けて、「クレマチス博物館」としての役割も果たしています。主に四季咲きの品種を植栽し、剪定によって春から晩秋まで花期を長く保つよう調整。クレマチス同士の組み合わせや、下草のあしらいも見どころです。毎年約10品種の新しいクレマチスが追加されています。

イロハモミジに寄り添うクレマチスは、モンタナ系の‘スノーフレーク’。モンタナ系のクレマチスは、原生地での様子が再現できるよう、樹木仕立てにしています。株元から枝までは、人の手によって誘引されていますが、枝に到達した先は、クレマチスが自由につるを伸ばして生長する姿を観賞できます。

庭園内には多くのベンチが置かれており、自由に休憩できますが、飲食は不可。

ランドスケープと彫刻作品の調和にも注目!
講習会などのイベントも多数開催

クレマチスガーデン/ヴァンジ彫刻庭園美術館の庭園内には、ジュリアーノ・ヴァンジの彫刻作品が常設で19点展示されています。美術館と庭園の建設計画の段階から、作家本人が関わり、作品の配置を決定しました。写真の作品『プリマヴェーラ』は、2002年の開館後、この庭園に合わせて制作・設置されたものです。クレマチスが彩る美しい庭園と彫刻作品の調和は、この庭ならではの魅力。

クレマチスのシーズンには、金子明人先生(園芸研究家、クレマチス栽培研究の第一人者。日本クレマチス協会理事、国際クレマチス協会会員)を招いて、ガーデンツアーに加え、ミニ講座やミニ体験を行っています。

2018年の日程は、以下の通りです。

第1回/5月4日(祝・金)13:00〜14:30
ミニ講座「早咲き大輪系の魅力」

第2回/5月19日(土)13:00〜14:30
ミニ講座「はじめてクレマチスを育てる方へ〜クレマチス栽培の基本」

第3回/6月3日(日)13:00〜14:30
ミニ講座「クレマチス苗の植えつけ教室」(クレマチス苗のお土産つき)

第4回/6月10日(日)13:00〜15:00
ミニ体験「クレマチスの挿し木に挑戦してみよう」(挿し木したポットは持ち帰り可)

第5回/6月16日(土)10:15〜12:15
ミニ体験「クレマチスの剪定に挑戦してみよう」

*参加費はクレマチスガーデン/ヴァンジ彫刻庭園美術館入館料込みで各1,500円、第3回のみ3,500円(花苗代含む)。
*要予約(クレマチスの丘コミュニケーションセンター☎︎055-989-8785)、各回の定員に達したら募集は締め切られるのでお早めに。

金子先生のクレマチス講座以外にも、ハーブやバラをテーマにした講習会などイベントを随時行っているので、公式ホームページをまめにチェックすることをオススメします。

花苗店や書籍&雑貨店などでショッピング
レストランで食の楽しみまで

クレマチスの丘には、フラワーショップ「ビオトープガーデン」があり、クレマチスのシーズンには約200品種のクレマチス苗や開花鉢が店頭に並びます。人気の品種は‘プリンセス・ダイアナ’、‘白万重’、‘テッセン’など。クレマチス以外にも、多肉植物やガーデン雑貨のほか、量販店ではなかなか目にしない仕入れ担当者オススメの個性的な花苗が並びます。

写真左、ヴァンジ彫刻庭園美術館併設のミュージアムショップ「NOHARA BOOKS」では、美術関連図録や書籍、絵本のほか、暮らしを彩る雑貨も販売。人気の品は「クレマチスの丘オリジナル和三盆」756円。

写真右「ブティック クレマチス」では、クレマチスをモチーフにしたグッズ、洋服やバッグ、雑貨、アクセサリーを販売しています。人気商品は花をモチーフにしたストール2,160円、バッグ1,300円。

クレマチスの丘のレストランでは、駿河湾の魚介類や箱根西麓の契約農家から届くみずみずしい野菜など、地元食材を活かした味わい豊かなひとときを楽しめます。

写真は、カジュアルなイタリアン「ピッツェリア&トラットリア CIAO CIAO(チャオ チャオ)」。営業時間は10:00〜21:00、ランチタイム11:00〜ラストオーダー14:30、ティータイム14:30〜17:30、ディナータイム17:30〜ラストオーダー19:30(第1・3火曜日はディナー休み)。

新窯で焼き上げるピッツァを中心に、パスタや前菜などメニューも充実。バラエティー豊かなオリジナルジェラートも常時約10種類あります。

左の写真は「マルゲリータ クレマチス」2,500円、右の写真はティラミス500円、ハーブティー500円。※メニューは季節によって異なります。

Information

クレマチスの丘
クレマチスガーデン/ヴァンジ彫刻庭園美術館

所在地:静岡県長泉町東野クレマチスの丘347-1
TEL:055-989-8787
https://www.clematis-no-oka.co.jp

アクセス:JR東海道線三島駅北口(新幹線口)より無料シャトルバス運行
【東京方面より】東名 裾野I.C.よりR246経由、沼津方面へ10km
【名古屋方面より】新東名 長泉沼津I.C.あるいは東名 沼津I.C.より伊豆縦貫道(東駿河湾環状道路)へ、長泉I.C.出口R246右折/新東名 長泉沼津I.C.より5km

オープン期間:通年

休館日:水曜(祝日の場合は翌日)、年末年始

営業時間:10:00~16:30(11〜1月)、10:00~17:00(2〜3月、9〜10月)、10:00〜18:00(4〜8月) ※入館は閉館30分前まで

入館料:クレマチスガーデン ヴァンジ彫刻庭園美術館 大人1,200円、高・大学生800円(4〜10月)、大人1,000円、高・大学生500円(11月〜3月)※小・中学生無料

Credit

取材&文/長田節子
ガーデニング、インテリア、ハウジングを中心に、ライフスタイル分野を得意とするライター、エディター。1994年より約10年の編集プロダクション勤務を経て、独立しフリーランスで活動。特にガーデニング分野が好きで、自身でも小さなベランダでバラ6姉妹と季節の草花を育てています。草花や木の名前を覚えると、道端で咲いている姿を見て、お友達にばったり会って親しく挨拶するような気分になれるのが醍醐味ですね。
https://twitter.com/passion_oranges/

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