博物館や図鑑で見るような、本格的な植物標本が自宅でつくれるキットが、日本ヴォーグ社より発売されました。押し花アートとは一味違う、庭に咲いた草花の姿をそのまま残すことができる植物標本づくりとは何か、キットの開発秘話とつくり方をご紹介します。

植物標本は16世紀のイタリアが起源とされる、植物の保存技術です。写真がなかった時代には、ボタニカルアート(植物細密画)や植物標本によって、植物分類学が発展してきました。乾燥標本にされた植物は、100年、200年先も残るとされていますが、そのほとんどが退色してしまうのが残念なところです。

しかし現代の先端技術によって、博物館向けに退色しない植物標本資材が開発され、専門家に高く評価されています。そしてこのほど一般向けに「植物標本スターターキット」が販売されることになりました。庭先で咲いた思い入れの深い花を標本として残し、フレームに飾るなどして暮らしを彩ってみませんか?

手塩にかけて育てた草花がきれいに咲いたら、写真に残しておくガーデナーは多いことでしょう。そして花や葉、つぼみの実在感をそのまま残せる標本として、色鮮やかなままに手元に置けたら、もっと嬉しいのでは? そんな願いをかなえるのが、このほど発売された「植物標本キット」です。開発した「日本ヴォーグ社」の関容子さんを訪ねました。

専門家も納得の技術を自宅で実践できるキット

「日本ヴォーグ社」の植物標本の見本。ツクシや鮮やかな花は、押し花にぴったり。

「もともと押し花クラフト用の資材を販売している会社で、プレスしても草花の色が退色しない技術を開発してきました。それが植物標本に携わる専門家の目にとまり、退色するのが当たり前とされてきた植物標本に応用できないかと相談されたのが始まりです。約10年前に製品化、先生方には大変喜ばれました。それで一般の方々にも楽しんでもらえればと、今回のキットを販売するに至りました」

採取した草花を特殊なドライシートで乾燥させる技術により、鮮やかな花色がそのままに残るのが、なんといっても魅力。レイアウトを工夫してフレームに入れれば、インテリアとしても華やか。ゲストがあれば、「私が手づくりしたの」と話のタネにもなりそう。液浸標本にも応用できるので、クラフト素材として幅広く利用できます。

なんと、イチゴやピーマンの輪切りまで植物標本に。植物のフォルムは見飽きない美しさ。

紫外線に当てなければ、鮮やかな色調のまま保存でき、厚み5㎜までなら、どんな植物でも標本にできます。花はもちろん、葉、根、木の皮、コケのほか、野菜もスライサーで薄く輪切りにすればOK。イチゴやオレンジ、キノコ、パプリカなどを使った、ユニークな標本にもチャレンジできます。キット内容は何度でも繰り返し使えるので、コレクションを増やすのが楽しみになりそうです。

「植物標本」にチャレンジ!

【キット内容】
ドライシート6枚、ペーパーボード2枚、スポンジ5枚、ゴムバンド2本、ポリクロス10枚、アルミチャック袋1枚

  1. 植物を採取します。スミレが咲いていたので、スコップで丁寧に掘り上げました。つぼみ、花、葉、茎、根、がついており、一つの株からたくさんの情報が得られるのが、良質な植物標本として評価されます。採取した植物は、水で洗わずに土を落としておきましょう。
  2. ペーパーボードの上にドライシート、ポリクロスの順に1枚ずつ敷き、採取した植物をのせます。茎や葉が重ならないように、バランスよく広げましょう。植物同士が重ならなければ、あいているところに別の植物を並べて、一度に数種の標本をつくっても構いません。なるべく新鮮なうちに加工するのがポイントです。
  3. 2の上にポリクロス、スポンジ、ドライシート、ペーパーボードの順に1枚ずつのせていきます。最後にゴムをかけてとめます。
  4. アルミチャック袋に入れ、袋内の余分な空気を抜いて、チャックを閉じます。その上に、5㎏程度の重しをのせます。全体へ圴一に圧力をかけるためには、本が最適。このまま約1週間置きます。
    (左)一度にたくさん標本をつくりたい場合は、1〜3の手順でドライシートなどを層にして重ねていき、最後にゴムをかけてもOK。
  5. 1週間後、アルミチャックから取り出しました。すっかり乾燥して、色がきれいに残っています。

フレームに入れて飾るほか、ハガキやプレゼントのラッピングに添えても素敵です。

Information

植物標本スターターキット 6,400円(税別)
パッケージサイズ 346×286×56㎜
http://www.plantart.jp/botanicaldisplay
お問い合わせ plantart@plantart.jp

※植物標本でアートする「プラントアート技術マスター講座」も開講中
詳細はWEBサイト参照 http://www.plantart.jp

Credit


取材&文/長田節子
ガーデニング、インテリア、ハウジングを中心に、ライフスタイル分野を得意とするライター、エディター。1994年より約10年の編集プロダクション勤務を経て、独立しフリーランスで活動。特にガーデニング分野が好きで、自身でも小さなベランダでバラ6姉妹と季節の草花を育てています。草花や木の名前を覚えると、道端で咲いている姿を見て、お友達にばったり会って親しく挨拶するような気分になれるのが醍醐味ですね。
https://twitter.com/passion_oranges/