東京メトロ「銀座駅」A3出口から徒歩1分。銀座4丁目交差点のすぐそばに、四季の花で彩られる美しいガーデンがあることをご存じですか。「え? そんなところに庭なんてあったっけ?」と思われる方もあるかもしれませんが、実はその庭は、10階建てのビルの最上階に広がる空中庭園。日本で一番地価の高いガーデンですが、誰でも無料で入場できます。お買い物のついでに、花を愛でながら優雅に休憩しませんか。

銀座・和光と銀座三越が向かい合う銀座4丁目の交差点。商業地として日本で最も地価の高いこの場所のほど近くに、季節の花が咲き乱れる空中庭園があります。ファンケル 銀座スクエア最上階「ロイヤルルーム」に併設された、屋上ガーデンです。

ここでは季節に合わせたガーデンイベントが度々開催されており、イベント会期中は誰でも無料で入場できます。春いちばんに登場したのは「早春の女神の庭 球根とビオラのかわいいハーモニー(今期の会期は終了)」。

エレベーターに乗って1階から10階へ。扉が開くと、そこには陽光輝く春爛漫のガーデンが広がっていました。パンジーやビオラ、プリムラ、スイセン、ラナンキュラスなど可憐な花々が咲き乱れ、その瑞々しい生気と香りに包まれていると、今歩いてきたハイブランドが立ち並ぶ都会の喧騒がまるで幻だったかのような錯覚を覚えます。

ガーデン中央には200株のビオラやプリムラで彩られたビッグハートが。ここに使われている花は、今注目を浴びている個人育種品種。高知県の植田光宣さん・寛美さんが作出した「天の羽衣」と、同じく高知県の見元園芸によるバラ咲きプリムラ・ジュリアンで構成されています。他にも今回の展示では12人の育種家による個性的な花が並び、見たことのない美しい花姿に来場者たちは目を奪われていました。

植田光宣さん・寛美さんが作出した「天の羽衣」と見元園芸のバラ咲きプリムラ・ジュリアン。
ブロッチや覆輪などが愛らしい岡山県、木村靖さんの作出品種。

日本の育種技術は世界的にレベルが高く、育種家によって生み出される花々は、日本の風土や文化を反映した繊細さや複雑さを持ち、他国にはない独自で豊かな展開は、世界から注目を浴びています。なかでも近年、次々に生み出されるパンジー・ビオラは、その劇的な変化によって主婦の間に育種ブームを生むほどです。ファンケル 銀座スクエアでは、こうした流れをいち早く展示イベントに取り入れて発信。

ビオラ「ヌーヴェル・ヴァーグ」。群馬県の育種家、江原伸氏が市販品種をもとに、他の遺伝子を一切入れず、約30年以上交雑を進めてつくり上げた一系統の中から、同じく群馬県の育種家の佐藤勲氏が特徴的な個体を選抜したものが「ヌーヴェル・ヴァーグ」。

館長の深澤典子さんは、「美しく華やかな空間であることに加え、銀座の一等地でご覧いただくのに相応しい内容かどうかということも企画の大事なポイントです。個人育種のパンジー・ビオラには日本独自の花文化が色濃く反映され、文化の発信地であり続ける銀座にぴったりだと思います」と話します。ガーデンを見に行くには通常、郊外へ足を運ばなければなりませんが、ここでは日本全国から集められた個人育種による最新品種のビオラが一堂に会し、日本の最先端の園芸文化に触れられる会場構成となっていました。

庭植えできるラナンキュラス・ラックスシリーズ。今年の新色ティーバ。

 

綾園芸作出のラナンキュラス・ラックスシリーズは、ラナンキュラスの中でも丈夫で宿根するので、新たな春の庭の素材として注目を集めている。ストックとの華やかな寄せ植え。

 

フォトスポットになっているビッグハートの裏側へ回ると、愛らしいウサギの後ろ姿とともに、ここにも小さな花の演出が。

デザイン・総合演出を手掛けたのは、渡辺さくらさん。ハンギングバスケット・コンテナ制作の他、日比谷ガーデニングショーなど数多くのガーデンイベントの運営に携わってきました。数年前からファンケル 銀座スクエアのこの2月の「早春の庭」の他に、6月の「あじさいガーデン」や10月の「ハロウィンガーデン」も担当。「渡辺さくらとその仲間たち」でガーデン制作を行い、女性らしい細やかな演出とアイデアで入場者数を増やしています。

「イベントとして華やかであると同時に、来場された方が実際に花のある暮らしを始めるきっかけになればと思っています。屋上ガーデンは広さが限られていますが、だからこそ都会の庭づくりの参考にしていただけるような演出を心がけています」(渡辺さん)。

さまざまな鉢植えスタイルの展開も、そうした演出の一つです。

天使のオーナメントを飾ったロマンチックな寄せ植え。ピンクの覆輪がおしゃれなラナンキュラスとビオラ、グリーンを合わせて。
バークチップと小枝を使って、鉢植えを林床風に演出。極小輪のビオラとスイセンが森のワンシーンを切り取ったようなナチュラルな一鉢。
壁掛けの寄せ植え、ハンギングバスケット。スペースの限られた場所でも華やかな色合いを楽しむことができる。
ガーデン雑貨を取り入れた演出。風景に変化を出すのに効果的。
ベンチにはクッション風のワイヤーバスケット。ワイヤーでクッションをかたどり、コケとともにビオラを植栽してある。

春の花に続き、5月4日(金・祝)〜11日(金)までは、京成バラ園芸の協力でローズガーデンが登場します。2018年春のローズガーデンのテーマは「恋人バラ・恋ばな・恋結び」。京成バラ園芸の新品種「恋結び」をメインに、恋や愛にまつわるバラで庭を彩ります。4日には京成バラ園芸のヘッドガーデナー、村上敏(むらかみさとし)さんによるトークショーが開催され、京成バラ園芸の新品種「恋結び」と今回の庭についてお話しします。また、7日(月)には第一園芸フローリスト江辺雄亮(えべゆうすけ)さん によるフラワーアレンジメントのデモンストレーションが行われます。さらに、最終日にはバラの展示販売会も開催。銀座でローズガーデンを堪能してみませんか。

 

また、6月1日(金)〜8日(金)までは「初夏のあじさいガーデン」を開催。日本の育種家によって作出された個性的なアジサイが多数登場します。

Information

会場:ファンケル 銀座スクエア10Fロイヤルルーム
問い合わせ:TEL 03-5537-0231(インフォメーションカウンター)
http://www.fancl.jp/sq/

Credit

写真&文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。