福岡県久留米市の造園屋『庭樹 中村造園』の奥様であり、ガーデンデザイナーでもある中村加奈子さんは、オープンガーデン歴20年。加奈子さんの5月の庭では、アーチに3種類のバラが美しく咲き誇り、「ようこそ! 薔薇の咲く庭へ」と、訪れる人たちを華やかに迎えてくれます。アーチをくぐると、そのまま、ずっとそこで過ごしたくなる居心地のいい庭。素敵な庭づくりの秘訣を加奈子さんに教えていただきましょう!

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※3月31日発売の『ガーデンダイアリーVol.9』の巻頭企画「造園屋さんのプライベートガーデン」にご登場いただく中村造園さんのお庭を、当ウェブ記事でひと足早く発表いたします。どうぞ、本誌『ガーデンダイアリーVol.9』と併せてご覧ください。

「アーチに咲く3つのバラは
どれも丈夫で育てやすいバラです」

編集部)
アーチの3種類のバラ、それぞれの魅力を教えてください。

加奈子さん)
濃いローズ色の華やかなバラは‘パレード’です。四季咲き性が強く、びっくりするほど繰り返し咲いて、ほぼ一年中、家の周りを飾ってくれるチャーミングなバラです。可愛らしいピンク色の中輪のバラは‘メイ・クイーン’。大きすぎず、小さすぎない、この大きさがとても好きです。「5月の女王さま」という素敵な名前がぴったりのバラですが、そういえばジャガイモにも同じ、メイクイーンという名前がありますね(笑)。白いバラは‘アルベリック・バルビエ’。花の色は純白ではなく少しアイボリーがかっていて、つぼみから咲き終えるまでの、どの過程を見ても美しいバラです。一季咲きですが、一気に咲き終えてしまうのではなく、長い期間咲いてくれます。濃い緑色の葉と一緒に切って室内に飾ると、とてもきれいで、切り花にも向くバラです。この3つのバラは、どれも丈夫で育てやすく、初めての方にもオススメです。

「家の周りを一周しそうなほどよく伸びるバラです」

編集部)
つるバラが庭を素晴らしく立体的に見せていますね。

加奈子さん)
アーチに誘引している3種類のバラのうち、‘メイ・クイーン’と‘アルベリック・バルビエ’は、どちらもどんどん枝を伸ばすバラです。トゲが少なめで、しなやかな枝を真っ直ぐに伸ばすので、誘引しやすいのもよい点です。とくに‘アルベリック・バルビエ’は、ひとシーズンに2階に届くまで枝を伸ばすつるバラです。伸びた枝を庭のあちこちに誘引しておくと、いろいろなところで咲いて、可愛らしいシーンをつくってくれます。

可愛いピンクのバラ、‘メイ・クイーン’。

「オープンガーデンの日には、
庭のあちこちに椅子を置いています」

編集部)
ピンクのバラの咲くアーチのシーンに、白いベンチがぴったり!

加奈子さん)
オープンガーデンの日には、いらしてくださったみなさまに、ゆっくり座って庭を見ていただけるように、庭のいろいろなところに椅子を置いています。写真の白いベンチは、2人掛けです。お友だちと連れ立っていらっしゃる方、ご夫妻で来られる方など、お2人でゆっくり座っていただくのにちょうどよいサイズです。輸入家具を扱っているお店で見つけて、とても気に入ったので、このベンチを2つ購入しました。ずっしりと重量感のあるベンチですが、頑張れば女性ひとりで動かせるくらいの重さなので、置きたい場所にひとりで運べる点も気に入っています。バラのモチーフがアクセントのローズガーデンベンチです。

「バラはピンク。草花はブルーと白でまとめて」

 編集部)
加奈子さんのお庭は、居心地がよくて落ち着きますね。

加奈子さん)
葉の緑色をベースに、青と白と紫系の色の花を植えて、気がつくと毎年、同じような雰囲気にまとまっています。バラの咲く頃は、ちょうどパンジーやビオラなどを植えていた植木鉢の植え替えの季節です。こぼれ種で増える白いレースのようなオルラヤの花、青いデルフィニウム、白いジギタリス。花の色数を抑えめにすると、居心地のよい、落ち着いた庭になります。

「デルフィニウムは毎年、苗を買って3月に定植します」

編集部)
青いデルフィニウムやラークスパーは、バラとの相性が抜群ですね。

加奈子さん)
うちの庭の環境では宿根しないもの、種から育てにくいものは、行きつけの苗屋さんで苗を買って、毎年、3月に定植します。青い花が好きなので、デルフィニウムは欠かせません。丈が50㎝ほどのもの、もう少し大きくなるものなど、いろいろな品種を、植える場所に合わせて選んでいます。

「寄せ植えせずに、一つの鉢に一つの植物を植えます」

編集部)
鉢に植えた草花が庭にアクセントをつけて、いい感じですね。

加奈子さん)
地植えできる花壇スペースが少ないので、鉢にも植えています。ちょうどいい場所に動かせるのが鉢植えのよい点です。寄せ植えにせずに、一つの鉢に一つの植物を植えれば、花の咲く時期、花が終わって植え替える時期がそろうので、手入れがラクですし、きれいです。

「バランスを見て庭づくり」

編集部)
花の色、植物の高さのバランスが絶妙ですね。

加奈子さん)
庭づくりは、色と量のバランスが大切です。バランスを見て、自分がいいなと思う感じにまとめます。

「1枚のオーガンジーの布が
初夏の日差しをやわらげ、風を誘ってくれます」

編集部)
ベランダにハンモックがあるんですね。オーガンジーのカーテンは手づくりですか?

加奈子さん)
ショップのセールの日に、オーガンジーのカーテン生地を買っておき、端を縫って物干し竿に通してベランダのカーテンにしています。バラの花の咲く頃の日差しは意外に強く、まぶしくて、オーガンジーの布を1枚通すと、ちょうどよくやわらかな光になります。5月の風を誘って、ふわーっと揺れる布越しに透けて見える新緑の庭がまた、とてもきれいです。オーガンジーのカーテンは、雨で濡れてもすぐに乾き、意外に傷みません。雨が降っても、慌てて取り込まずに、そのまま掛けておいて大丈夫。ハンモックでの昼寝を、いっそう心地よいものにしてくれます。

「部屋の中にも、あちこちに椅子を置きます」

編集部)
お部屋の中も素敵ですね!

加奈子さん)
家族といっしょに過ごす時も、お友だちが来てくれた時も、庭と同じように、部屋の中のあちこちに置いてある椅子が活躍します。窓のすぐそばに置いた椅子に座って、みずみずしい5月の庭を眺めながら、お友だちと庭の話をしたり…。高価ではありませんが、座り心地のいい椅子があれば、楽しい時間を過ごせます。きっと、私は「椅子」が好きなんですね(笑)。

●問合せ
『庭樹(にわき) 中村造園』
〒839-1214福岡県久留米市田主丸町地徳2154
電話番号/0943-72-0290
http://niwaki-zoen.com

Credit

文/安藤 明
八月社代表。「ガーデンダイアリー」編集長。2002年〜2013年まで「季刊雑誌マイガーデン」(マルモ出版)編集長。「大成功のバラ栽培」「北鎌倉のお庭の台所」「育てて楽しむオリーブの本」など、書籍制作も多数。

写真/福岡将之
写真家。1970年、長崎市生まれ。東京を拠点に、「ガーデンダイアリー」、「大成功のバラ栽培」などの書籍、雑誌、広告の撮影をおこなっている。 著書「portrait」「紫竹おばあちゃんの幸福の庭」「北鎌倉のお庭の台所」。インターネットで花と庭の写真撮影を、全国のアマチュア写真家に教えている。
「福岡将之の無料メルマガ写真講座」 http://laf-p.com

製作/八月社(ガーデンダイアリー編集部) http://hachigatsusha.net/

 

 

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